杭頭補強筋の納まり検討|杭工事中に柱・梁の鉄筋と重ねて描く

鉄筋工事:杭頭補強筋の納まり検討|柱・梁の鉄筋と重ねて描く 08 鉄筋工事

08 鉄筋工事|段取り

  1. 段取り:この記事
  2. 施工中:配筋検査で指摘されやすい箇所
  3. トラブル対処:—
ルー

杭、あと少しで打ち終わりますね。基礎の鉄筋は、図面どおりに組んでもらえば大丈夫ですよね?

ミサキさん

杭頭補強筋と柱の主筋、同じ絵に描いてみた? 下端筋のかぶりは、どこから測るつもり?

ルー

……捨コンの上から、ですか? メモしました。

ミサキさん

その数字、どの基準? 杭基礎だと話が変わるわよ。

Kony

そこ、僕も昔つまずいた。杭を打っている間に、柱・梁・杭頭補強筋を1枚に重ねて描いておこう。

この記事で分かること

  • 杭頭補強筋の納まりを、いつ・何を重ねて検討するか
  • 基礎の中で鉄筋がぶつかりやすい場所と、確かめる基準(かぶり厚さ・圧接・杭の位置ずれ)
  • 自分で決めずに、所長・監理者・構造設計者に上げるところ

杭頭補強筋の検討は、杭を打っている間に終わらせる

数年前の12月、杭工事の最中に、僕はメモに「杭工事中に検討するべき事」を並べました。杭頭補強筋の検討、掘削、配筋、基礎、基礎足場。一番上に書いたのが杭頭補強筋です。

FIELD NOTE杭工事中に検討するべき事

杭頭補強筋の検討

→ 掘削 → 配筋 → 基礎 → 基礎足場

杭が終わると、掘削、杭頭の処理と捨てコンクリート(捨コン)を経て、基礎・地中梁の配筋に入ります。配筋が始まってから「柱の主筋と杭頭補強筋が当たる」と気づいても、鉄筋はもう加工されて現場に届いています。だから納まりは、杭を打っている間に紙の上で解いておきます。

▽ 掘削の前に所長・監理者へ 杭工事掘削(一次・二次)杭頭処理・捨コン基礎・地中梁の配筋 重ね図で納まりを検討 逃げ墨から位置出し
図1杭工事から基礎配筋までの順番(模式図。棒の長さは順番を示すだけで、日数の例ではありません)。納まりの検討は杭工事の間に進め、掘削の前に見せる

杭頭の処理そのものは、標準仕様書では「特記による」とされています(公共建築工事標準仕様書 令和7年版 4.3.8(1))。杭頭補強筋の本数・径・長さは設計図の特記や杭の仕様で決まっているので、現場で考えるのは「その鉄筋を、ほかの鉄筋とぶつけずにどこへ通すか」です。

杭頭補強筋の配筋状況

写真杭頭補強筋の配筋状況(RC造の建物の現場)

検討の順番は「柱型・梁型 → 主筋 → 杭頭補強筋」

当時のメモに、検討の流れをこう書いています。「柱型・梁型、鉄筋入れる → 杭補(杭頭補強筋)の位置を検討する」。先にコンクリートの形を描き、そこに柱と梁の主筋を入れ、最後に杭頭補強筋を差し込む順番です。逆にすると、杭頭補強筋を描き終えてから梁の主筋が通らないことに気づきます。

  1. 柱型・梁型(コンクリートの形)
  2. 柱と梁の主筋
  3. 杭頭補強筋を差し込む
図重ね図を描く順番。逆にすると、杭頭補強筋を描き終えてから梁の主筋が通らないことに気づく

重ねる図は、だいたい次の5つです。

重ねるものどこから持ってくるか見るところ
杭の位置杭伏図と、杭の施工記録(水平方向の位置ずれの実測値)設計の杭心ではなく、打ったあとの実際の杭心で描く
基礎・地中梁の形基礎伏図・基礎リスト・地中梁リスト基礎の大きさ、地中梁の幅・せい、天端と底の高さ
柱・地中梁の主筋柱リスト・地中梁リスト本数と段数、柱の主筋と梁の主筋が交わる位置、圧接の位置
杭頭補強筋設計図の特記、杭の仕様書本数・径・長さ、基礎の中へ伸びる高さ
はかま筋など基礎の配筋図ほかの鉄筋との取り合い

平面(上から見た図)と断面(横から見た図)の両方で描きます。平面だけだと、高さ方向でぶつかる場所が見えません。杭の位置ずれの実測値は、杭の施工記録に残す項目です(標準仕様書 令和7年版 4.3.9)。

柱 基礎 地中梁 捨コン(かぶりに含めない) 杭 梁の上端主筋 梁の下端主筋 基礎の下端筋 ここが混む 杭頭補強筋 × 梁主筋 × 柱主筋 下端筋のかぶりは杭天端から 杭頭補強筋
図2基礎の断面(模式図・寸法や本数は例ではありません)。杭頭補強筋・梁の主筋・柱の主筋が基礎の中央に集まる。杭基礎の基礎下端筋のかぶり厚さは杭天端から測り、捨コンの厚さは含めない(公共建築工事標準仕様書 令和7年版 表5.3.6 注3・注4)

僕がつまずいた5つのところと、確かめる基準

当時のメモに出てくる不安を並べると、ほとんどが「基礎の中で鉄筋がぶつかる」話でした。メモの言葉のまま並べて、いまならどこを確かめるかを横に書きます。

当時のメモ確かめること基準・決める人
「問題は柱。梁で既に納まっていない」杭頭補強筋より先に、柱の主筋と梁の主筋が交わるところ(どちらが上を通るか、何段目か)を解く主筋の位置を変えるなら監理者に確認し、構造設計者の指示を仰ぐ
「絶対にかぶり取れない所がある。どう逃げればよいのか」土に接する基礎は最小かぶり厚さ60mm、土に接する柱・梁は40mm。加工に使うかぶり厚さは、最小かぶり厚さに10mmを加えた値が標準標準仕様書 令和7年版 5.3.5(1) 表5.3.6、5.3.5(2)。特記があれば特記が優先。取れない所は自分で逃がさず監理者へ
「梁の圧接部、一直線になるか」杭頭補強筋をよけるために梁の主筋を曲げると、圧接部の偏心や折れ曲がりにつながる。圧接部の鉄筋中心軸の偏心量は鉄筋径の1/5以下、折れ曲がりは2°以下。隣り合う継手の位置も決まりがある標準仕様書 令和7年版 5.4.4(エ)(オ)、5.3.4(4) 表5.3.3
「杭偏心部はどう処理するか」実際の杭心で杭頭補強筋の位置を描き直す。位置ずれをどこまで許すかは特記で決まる標準仕様書 令和7年版 4.3.4(6)(ア)(位置ずれの精度は特記による)、4.1.3(6)(エ)(所定の位置を確保できないときは協議)。超えたら監理者に報告し、構造設計者の指示を仰ぐ
「はかま筋とかとの納まりは?」「杭頭補強の墨出しも大変」はかま筋も同じ図に入れる。鉄筋どうしのあきは、粗骨材の最大寸法の1.25倍・25mm・隣り合う鉄筋の径の平均の1.5倍のうち最大のもの以上標準仕様書 令和7年版 5.3.5(4)

冒頭でルーが答えた「捨コンの上から」は、杭基礎では違います。表5.3.6の注に、直接土に接する部分のかぶり厚さには捨コンの厚さを含まないこと、杭基礎の場合の基礎下端筋のかぶり厚さは杭天端から測ることが書いてあります(標準仕様書 令和7年版 表5.3.6 注3・注4)。杭天端の高さがずれると、そのままかぶりがずれます。高さの測り方で僕がやった失敗は、レベル測定で基準を盛り替えたときの勘違いにまとめています。

構造に関わるところ

かぶりが取れない、杭が大きくずれている、主筋を動かさないと納まらない。この3つは構造の性能に関わります。現場監督の判断で鉄筋を逃がして済ませず、図に印と数値を入れて監理者に報告し、必ず構造設計者・監理者の指示を仰いでください。僕も以前の現場で監理者と相談して柱・梁を太くさせてもらったことがあります。

鉄骨造の建物なら、基礎の中にはアンカーボルトも入ります。アンカーボルトの位置がずれたときの直し方は、アンカーボルトの位置ズレ・埋込み不足の直し方で書きました。基礎の中の位置は、打設したら動かせないという点で同じです。

期限は「描き終わるまで」ではなく「所長に見せるまで」

検討を始めて数日後のメモには「どうすればよいのか大体分かった」「所長が書いた図面を参考にさせてもらう」「誰かに聞いてみるのもアリだと思う」「他の図面も参考にする」とあります。白紙から1人で描くより、所長や先輩が前の現場で描いた納まり図を借りるほうが早い。これは今でもそう思います。

その後のメモでは「年内には検討を終わらせたい」と書き、終わりを「所長に見せるまで」と決めています。自分では良いか悪いか判断できないと分かっていたからです。それでも年末のメモには「杭頭検討できてない」が残っていて、「図書館で本を借りて配筋の勉強をする」の下に、自分で「本を読んだから分かるようになる?」とツッコミを入れていました。

同じところで手が止まっている人には、分からないところに印を付けた段階で、一度所長に見せることをすすめます。段取りに落とすと、こうなります。

分からない所に印を付けたら、その段階で一度見せに来て。ミサキさん(先輩監督)

いつやること相手
杭工事が始まったら杭伏図・基礎リスト・柱と地中梁のリストを集め、杭頭補強筋の仕様(特記・杭の仕様書)を確かめる所長
杭工事の間柱型・梁型 → 主筋 → 杭頭補強筋の順で、平面と断面の重ね図を描く。分からない所に印を付ける所長(前の現場の納まり図を借りる)
杭の施工記録が出たら実際の杭心で描き直し、位置ずれが特記の値を超えた杭を拾う監理者
掘削の前重ね図を見せ、かぶりが取れない所・偏心した杭・主筋を動かす所を相談する所長・監理者・構造設計者
鉄筋の加工の前決まった納まりで打合せ(下の表)鉄筋屋さん・圧接屋さん
杭頭処理の日残しておいた杭心の逃げ墨から、杭頭補強筋の位置を出す鉄筋屋さん

鉄筋屋さん・監理者と先に話しておくこと

同じ時期の「基礎地中梁配筋について」というメモには、搬入予定表をよく確認する、車の大きさを確認する、レッカーを呼ぶなら何tまで吊れるか確認する、タワークレーンはいつ建つのか、圧接の種類は何か確認する、が並んでいます。納まりの話と一緒に、ここまで話しておくと配筋の初日が止まりません。

相手話すこと
鉄筋屋さん重ね図で決まった納まり、杭頭補強筋と柱・梁の主筋を入れる順番、搬入予定と車の大きさ、揚重(レッカーの能力・据える位置)
圧接屋さん圧接の種類、主筋を曲げずに圧接できるか、圧接位置のずらし方
監理者かぶりが取れない所、偏心した杭、主筋の位置を変えたい所。図に印と数値を入れて持っていく

配筋が終われば、次は打設です。打設の前に何を決めておくかは、コンクリート打設の段取りにまとめています。

準備物チェックリスト(印刷して使う)

杭工事の途中で、掘削の前に一度通してください。現場によって要らないものは消して使います。

  • ☐ 杭伏図と、杭の施工記録(水平方向の位置ずれの実測値)
  • ☐ 基礎伏図・基礎リスト・地中梁リスト・柱リスト
  • ☐ 杭頭補強筋の仕様(特記・杭の仕様書:本数・径・長さ)
  • ☐ はかま筋など、基礎の配筋図
  • ☐ かぶり厚さの特記の有無と、標準仕様書の表5.3.6
  • ☐ 平面と断面の重ね図(分からない所に印)
  • ☐ 所長・先輩が前の現場で描いた納まり図
  • ☐ 監理者への確認事項(かぶり・偏心した杭・主筋の位置)
  • ☐ 鉄筋屋さん・圧接屋さんとの打合せ事項(搬入予定・車の大きさ・揚重・圧接の種類)
  • ☐ 杭心の逃げ墨の位置

基礎の中は、コンクリートを打ったら二度と見えません。同じ頃のメモには「見えない納まりが恐い」とも書いています。怖いところほど、杭を打っている間に紙の上で一度ぶつけておきましょう。

参考にした基準・資料

  1. 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版4章 地業工事:4.1.3(6)(協議する場合)、4.3.4(6)(ア)(杭の水平方向の位置ずれの精度は特記による)、4.3.8(1)(杭頭の処理は特記による)、4.3.9(施工記録)
  2. 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版5章 鉄筋工事:5.3.4(4) 表5.3.3(隣り合う継手の位置)、5.3.5(1) 表5.3.6 と注3・注4(最小かぶり厚さ)、5.3.5(2)(加工に用いるかぶり厚さ)、5.3.5(4)(鉄筋相互のあき)、5.4.4(圧接部の品質)

この記事は、僕が現場で聞いたこと・やってきたことを書きためたメモをもとにしています。一つの現場での例なので、思い違いもあるかもしれません。基準の数値は資料で確かめて書いていますが、実際の工事では設計図・特記仕様書・メーカーの資料を優先し、監理者に確認してください。

基準の数値は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準を確認してください。

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