配筋検査で指摘されやすい箇所|本数より重ね・あき・かぶりを先に見る

鉄筋工事:配筋検査で指摘されやすい箇所 08 鉄筋工事

08 鉄筋工事|施工中

  1. 段取り:—
  2. 施工中:この記事
  3. トラブル対処:—
ルー

配筋検査の朝です。本数は設計図と全部合ってます。これで検査は大丈夫ですよね?

ミサキさん

本数は合ってるのね。じゃあ継手の重ね長さ、その数字は?

ルー

……図面の注記を見て、、、?メモしました。

Kony

本数は設計図数えられるけど、重ねもあきもかぶりも、スケールを当てないと分からない。検査で指摘が出やすいのはそっちだ。今日はその見方を整理するよ。

この記事で分かること

  • 配筋検査で、本数よりも先に測っておく3つの寸法(重ね・あき・かぶり)
  • 標仕(令和7年版)の数字と、D19 での計算例
  • 構造に関わるので数字を覚えておきたい箇所(定着・開口・梁の貫通孔)

本数より先に、重ね・あき・かぶりを見る

僕が付き合ってきた鉄筋屋さんでは、配筋検査で主筋の本数の間違いを指摘されたことはありません。最近はソフトで拾っている会社が多く、本数は合ってくるものだと思っています。主筋の入れ忘れは特に大事になりやすい為みんなかなり気を使いますからね。

指摘が出るのは別のところです。継手の重ねが足りない、鉄筋同士のあきが狭い、かぶりが足りない、結束が少ない。僕が言われたのは、このあたりでした。

本数は拾い表で数えられますが、重ね・あき・かぶりは、現場で測らないと分かりません。だから自主検査では、本数を数える前に、この3つを測っておくのをおすすめします。

検査は誰が、いつ見る? 打設までの流れ

検査の回数や段階は現場ごとに違いますが、一般的には、鉄筋屋さんの自主検査、監督の自主検査、監理者の配筋検査の順に進み、通ってから型枠を閉じて打設に入ります。

▽ 監理者の配筋検査 鉄筋の加工・組立鉄筋屋さんの自主検査監督の自主検査是正と再確認型枠を閉じる・打設 重ね・あき・かぶり
図1配筋検査から打設までの流れ(模式図。棒の長さは順番を示すだけで、日数の例ではありません)

監督の自主検査は、監理者が来る前に、直す時間が残る日に入れておきます。鉄筋屋さんが引き上げたあとに指摘が出ると、直すために人を呼び直すことになるからです。

検査に通ったあとは、打設です。当日の段取りはコンクリート打設の段取り、当日に見るところは打設当日に監督が見るところにまとめています。鉄骨造なら、コンクリートを打つ直前に、アンカーセットがずれていないかも確認します。ずれたときの直し方はアンカーボルトの位置ズレ・埋込み不足はどう直す?に書きました。

指摘されやすい箇所と、見るときの基準

僕の経験で指摘が多かったところを、標仕の条文と並べました。数字は公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版のものです。実際の工事では、特記仕様書と構造図が優先されます。

見る箇所現場で見ること基準(標仕 令和7年版)
継手の重ね長さ重ねている長さ、径の違う鉄筋の重ね表5.3.2。径が異なるときは細い鉄筋の径で測る(5.3.4(3))
鉄筋相互のあきぎっしり配筋の箇所の間隔3つの値のうち最大以上(5.3.5(4))
かぶり厚さスペーサーの数と高さ、鉄筋の浮き表5.3.6。組立後のかぶりは最小かぶり厚さ以上(5.3.5(3))
結束継手部分と交差部の要所径0.8mm以上の鉄線で結束(5.3.3)
梁主筋の柱への定着柱の中に入っている長さ、折曲げ特記・構造図による
開口まわり・梁の貫通孔構造図にある補強筋の有無、貫通孔の位置特記・構造図による。貫通孔に接する鉄筋のかぶりは最小かぶり厚さ以上(5.3.5(6))

ガス圧接の継手は、ふくらみの径と長さを当てて測る

圧接の継手がある配筋では、外観検査でふくらみを測ります。僕は測定器を当てて、ふくらみの直径が1.4d以上、ふくらみの長さが1.1d以上あるかを確かめました。d は細い方の鉄筋の径です。

標仕 5.4.4 には、このほかに圧接面のずれ1/4d以下、中心軸の偏心量1/5d以下、折れ曲がり2°以下、片ふくらみ1/5d以下が書かれています(公共建築工事標準仕様書 令和7年版 5.4.4)。外れた圧接部の扱いは、監理者の指示を仰いで決めます。

基礎地中梁の配筋検査で、スケールを当てて寸法を確かめているところ

写真配筋検査では、スケールを当てて寸法を確かめます(基礎地中梁の例。S造の店舗の参考現場)

重ね継手は、細い方の径で測る

重ね継手の長さは、鉄筋の径の何倍かで決まります。この「d」は、鉄筋の呼び名の数字です。D19 なら 19 になります。径が違う鉄筋どうしを重ねるときは、細い方の径で測ります。

鉄筋の種類とコンクリートの設計基準強度(Fc)で倍数が変わります。柱・梁の主筋と耐力壁は特記が先で、特記がなければ表5.3.2 を使います。僕が現場で「ジョイントの長さが足りない」と言われたのは、何回かありました。

設計基準強度 FcSD295SD345SD390
21 N/mm240d/30d45d/30d50d/35d
24・27 N/mm235d/25d40d/30d45d/35d

表の左がフックなし(L1)、右がフックあり(L1h)です。L1h はフック部分を含みません。軽量コンクリートは、表の値に5dを足します。耐力壁の鉄筋は40d(軽量は50d)と表の値の大きい方です。

計算の例です。SD345、Fc24、D19 のフックなしなら、40d で 40×19=760mm。フックありなら 30d で 30×19=570mm です。現場では、この数字をメモしておいて、巻尺で実測しながら見ていきます。

760mm

SD345・Fc24・D19・フックなし
40d = 40 × 19 = 760
フックありなら 30d で 570mm。巻尺で実測しながら見ていきます。

鉄筋の重ね継手の長さを巻尺で測っているところ(D13、40d=520mm)
工事名
●●●新築工事
工種
鉄筋工事
内容
重ね継手の長さ確認
基準
40d 以上
測定
D13×40d=520mm

写真重ねの長さは、巻尺を当てて写真に残します(この写真は D13 の例。S造の店舗の現場)

あきとかぶりは、断面で考える

鉄筋相互のあきは、次の3つのうち最大の値以上です。粗骨材の最大寸法の1.25倍、25mm、隣り合う鉄筋の径の平均の1.5倍。粗骨材の最大寸法は、コンクリートの調合計画で確認します。

かぶり あき 例:D25どうし、粗骨材の最大寸法20mm(ア) 20×1.25=25mm(イ) 25mm(ウ) 25×1.5=37.5mm最大の 37.5mm 以上
図2梁の断面でみる、かぶりとあき(模式図・寸法は例)。かぶりは最も外側の鉄筋(あばら筋)から測る。標仕 5.3.5

最近の配筋は、ぎっしり詰まっています。設計の段階で納まっていないこともあります。僕は「鉄筋の間隔を広げて」と指摘されたことがあります。納まらないときは、現場の判断で鉄筋を寄せずに、監理者に報告して、必ず構造設計者・監理者の指示を仰いでください。

かぶりは、特記がなければ表5.3.6 です。加工に使うかぶり厚さは、最小かぶり厚さに10mmを足した数字が標準で、組み立てたあとのかぶりは最小かぶり厚さ以上にします。かぶりは、少なくても指摘されます。僕は上げすぎも指摘されました。

かぶりは足りなくても、上げすぎても指摘されるのよ。ミサキさん(先輩監督)

部分最小かぶり厚さ(mm)
土に接しない:スラブ・耐力壁以外の壁仕上げあり20/なし30
土に接しない:柱・梁・耐力壁(屋内)仕上げあり30/なし30
土に接しない:柱・梁・耐力壁(屋外)仕上げあり30/なし40
土に接しない:擁壁・耐圧スラブ40
土に接する:柱・梁・スラブ・壁40
土に接する:基礎・擁壁・耐圧スラブ60

表は普通コンクリートの値です。軽量コンクリートや、塩害のおそれがある所には使えません。柱・梁の主筋にD29以上を使うときは、主筋のかぶりを径の1.5倍以上にします。たとえば、土に接する柱の最小かぶりが40mmなら、加工用は50mmが標準です。

デッキプレートの上に組んだワイヤーメッシュのかぶりを、スケールを当てて確かめているところ

写真2階スラブのワイヤーメッシュ配筋で、かぶりを確認しているところ(S造の店舗の現場)

基礎の下のかぶりを指摘されたら、鉄筋を持ち上げてスペーサーをかませる

僕は基礎で、下のかぶりが足りないと指摘されたことがあります。そのときは鉄筋を少し持ち上げて、スペーサーをかませて直しました。

土に接する基礎の最小かぶり厚さは60mmで、捨てコンクリートの厚さはかぶりに含めません。杭基礎のときは、基礎の下端筋のかぶりを杭の天端から測ります(標仕 表5.3.6 注3・注4)。捨てコンの上から測って「足りている」と思い込まないようにしています。

102030405060708090100最小 60ここを下回ると指摘加工用 70最小+10mmが標準
目盛り土に接する基礎のかぶり。最小かぶり厚さ60mm、加工に使うかぶり厚さはそれに10mmを足した70mmが標準(標仕 令和7年版 表5.3.6・5.3.5)。捨てコンクリートの厚さは含めない。

梁のスペーサーは、腹筋に付けて縦向きに入れる

梁の側面に使うドーナツ形のスペーサーは、スターラップに付けると横向きに入ってしまいます。横向きだと、打設のときにコンクリートの荷重をまともに受けます。

Konyの現場メモ

僕は縦向きに入れたいので、梁の腹筋に付けます。腹筋に付けるとスターラップの径の分だけ内側になるので、その分を足した大きさのスペーサーを選びます。

開口・梁の貫通孔・柱への定着は、数字を覚えておく

開口まわりの補強筋は、設計図に載っていれば問題になりません。だから検査の前に、構造図にある補強筋が、実際に入っているかを見ます。

梁に配管を通す貫通孔にも、位置や大きさの決まりがあります。梁せいに対する割合で決まっていて、見落としがちな数字なので、覚えておいた方がいいです。梁主筋の柱への定着が足りないと指摘されたこともあります。あれは直すのに苦労しました。

構造に関わるところ

柱への定着や、貫通孔の位置・大きさ、開口の補強は、構造の性能に関わります。現場監督の判断で済ませず、監理者に報告して、必ず構造設計者・監理者の指示を仰いでください。

基礎の下のかぶり不足(鉄筋を少し持ち上げてスペーサーをかませる)現場で直す
あきが取れない、柱への定着、梁の貫通孔、開口の補強、外れた圧接部指示を仰ぐ

指摘された日の動き方

指摘を受けたら、その場で図面に印を付けて、指摘の内容と測った寸法を記録し写真に残します。直したあとは、同じ場所を同じ角度で撮って、再確認を受けます。

記録写真は、重ねの長さをスケールで測っているところ、あきを測っているところ、かぶりのスペーサーが写っているところの3種類があると、あとで説明しやすくなります。

Q配筋がぎっしりで、あきが取れない所を見つけた。どうする?

  • A鉄筋屋さんに頼んで、その場で寄せる
  • B監理者に報告して、構造設計者・監理者の指示を仰ぐ
  • C打設が終わってから報告する
答えを見る

B あきは構造に関わります。現場の判断で鉄筋を寄せず、監理者に報告して、構造設計者・監理者の指示を仰ぎます。

配筋検査は、本数を数える日ではなく、重ねとあきとかぶりを測る日だと僕は思っています。検査の前日までに、この3つを自分のスケールで一度測っておくだけで、指摘の数は減らせるはずです。

参考にした基準・資料

  1. 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版5章 鉄筋工事:5.3.2(3)(異形鉄筋の径 d)、5.3.3(組立・結束)、5.3.4(3)・表5.3.2(重ね継手の長さ)、5.3.5・表5.3.6(かぶり厚さ・あき・貫通孔に接する鉄筋)。PDF頁33・34・39

基準の数値は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準を確認してください。

次に読む

コメント

タイトルとURLをコピーしました