02 解体工事|段取り
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来月から内装解体ですね。天井と壁をはがすだけなので、アスベストの調査はいらないですよね?
内装だけでも事前調査は要るわよ。その建物、いつ建ったものか調べた?
……調べてません。メモしました。
アスベストの調査は思ったより時間がかかる。解体の日から逆算して、調査・報告・届出の順番を決めておこう。
この記事で分かること
- 内装解体でも、アスベスト(石綿)の事前調査が必要な理由と、調査する人の資格
- 事前調査の結果の報告と、レベル1・2の建材があるときの届出の期限
- 調査で時間を取られないために、現地調査の段階でやっておくこと
内装解体の前のアスベスト調査は、工事の規模や種類にかかわらず必要です。調査に時間がかかると、そのぶん解体の着手も遅れます。この記事では、僕が解体の段取りで気をつけていることと、法令で決まっている調査・報告・届出の流れを、着手日から逆算する形でまとめます。
内装解体でも、アスベストの事前調査は必ず要る
古い建物を解体・改修するときは、アスベスト(石綿)が入っているかどうかを確認しないといけません。石綿障害予防規則 第3条では、解体・改修の前に、設計図書などの書面と目視で石綿の有無を調べることになっています。大気汚染防止法 第18条の15でも、元請業者が事前調査をして、その結果を発注者に書面で説明することになっています。
厚生労働省は、原則として工事の規模・種類にかかわらず、すべての材料について事前調査が必要と説明しています。天井と壁をはがすだけの内装解体でも、対象です。
調査する人にも決まりがあります。2023年10月1日からは、建築物の事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」などの資格を持つ人が行うことになりました(石綿則 第3条第4項、令和2年厚生労働省告示第276号)。社内に有資格者がいないなら、調査会社への依頼も含めて早めに手配します。
調査は時間がかかる。「入っていそうな所」は現地調査で当たりを付ける
アスベストの調査は、思った以上に時間がかかります。書面と目視で分からない建材は、試料を採って分析に出すことになるからです。僕は、現地を調査する段階で「これは入っていそうだ」という所にしっかり当たりを付けておき、一部を切り取らせてもらって、早い段階で分析に出すようにしています。
石綿則 第3条第5項では、石綿の有無が分からない建材は分析調査をします。ただし、分析をしない場合は「石綿が使われているもの」とみなして、必要な対策をとることになります。みなすと工事の手間と費用が増えるので、分析に出すか、みなすかは、工程と費用を見て早めに決めます。
Konyの現場メモ
解体の前の事前調査が遅れると、そのまま解体の着手も遅れます。含まれていれば対策を書いた届出も要るので、「入っていそうな所」は早い段階で分析に出すようにしています。
解体の着手日から逆算する:調査・報告・届出の順番
調査から解体までの流れを、着手日から逆算して並べると次のようになります。報告と届出は、規模や建材によって要る・要らないが変わります。
- 書面調査(設計図書・竣工年)
- 目視調査・当たりを付けて試料採取
- 分析結果(またはみなし)
- 結果の報告(対象の工事のみ)
- レベル1・2があれば届出(14日前まで)
- 掲示・記録を残して着手
| やること | 対象・期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事前調査(書面+目視、必要なら分析) | すべての解体・改修。有資格者が行う | 石綿則 第3条、大防法 第18条の15 |
| 事前調査結果の報告 | 解体部分の床面積の合計80m²以上の解体、請負代金100万円以上(税込)の改修など。工事の前に、電子システムで労働基準監督署と自治体へ | 石綿則 第4条の2、大防法 第18条の15第6項・施行規則 第16条の11 |
| 特定粉じん排出等作業実施届出 | レベル1・2に当たる建材の除去等。作業開始の14日前までに都道府県等へ(発注者が届け出る) | 大防法 第18条の17 |
| 計画届 | 吹付け石綿、保温材・耐火被覆材等の除去など。仕事の開始の14日前までに労働基準監督署へ | 安衛法 第88条第3項、安衛則 第90条 |
| 結果の掲示・記録の保存 | 調査の結果の概要を現場の見やすい所に掲示。記録は3年間保存 | 石綿則 第3条第7項・第8項 |
報告は、石綿事前調査結果報告システムを使うと、労働基準監督署と自治体への報告を1回で済ませられます。報告のタイミングは、遅くとも工事に着手する前です。自治体によっては条例で独自の決まりがあるので、所轄の労働基準監督署と自治体の窓口に確かめてください。
レベル1〜3は通称。届出が要るのはレベル1・2に当たる建材
現場では、石綿を含む建材を「レベル1〜3」と呼びます。レベル1は吹付け石綿、レベル2は石綿を含む断熱材・保温材・耐火被覆材、レベル3はその他の成形板などです。ただ、環境省の資料では、この区分は建設業労働災害防止協会によるもので、法令の定義とは直接関係がないと説明されています。
法令上は「特定建築材料」という言い方で決まっていて、作業の届出が要るのはレベル1・2に当たる建材です。どのレベルでも、飛散を防ぐ措置をしながら、作業員は保護具を着けて作業します。どの措置が要るかは建材と作業の方法で変わるので、調査会社・解体業者と一緒に確かめます。
レベルは通称よ。届出の要否は、どの建材に当たるかで決まるわ。ミサキさん(監理者)
安全に関わるところ
石綿が含まれている、またはみなした建材は、決められた措置なしに壊さない。作業の方法・保護具・届出は、法令と所轄の労働基準監督署・自治体の指導に従い、迷ったら着手前に必ず確認してください。
申請が初めてでも、先輩に聞きながら自分で1回やってみる
報告や届出は、書類に慣れていないと腰が引けます。それでも僕は、申請が初めてなら、先輩に聞きながら自分で1回やってみたほうがいいと思っています。1回通しておくと、次の現場で「いつまでに何がそろっていればいいか」が分かり、解体の工程を組むときに逆算できるようになります。
1年目に任される書類全体の話は施工管理1年目の仕事|最初に任される書類と、現場で覚える言葉・聞き方に書いています。内装解体の後に続く工事の順番は、軽天工事の段取り|壁・設備・天井の順番と、吊りボルトで揉めない決め方や内装ボードの選び方|留付け・目地・便器洗面台の下地補強の押さえどころも参考にしてください。
Q請負代金50万円の、小さな内装改修。アスベストの事前調査はどうする?
- A報告の対象外なので、調査もしなくてよい
- B事前調査はする。結果の報告は対象外
- C石綿が出たときだけ調査する
答えを見る
B 事前調査は、原則として工事の規模・種類にかかわらず必要です。報告が要るのは、改修なら請負代金100万円以上(税込)の工事などです。
準備物チェックリスト(印刷して使う)
解体の工程を組む前に一度通します。現場によって要らないものは消して使います。
- ☐ 建物の竣工年と、設計図書・改修履歴(書面調査用)
- ☐ 事前調査をする有資格者(社内か調査会社か)
- ☐ 「入っていそうな所」の一覧と、試料を採る場所・日程
- ☐ 分析に出すか、みなすかの判断と、その日付
- ☐ 結果の報告が要るか(解体80m²以上・改修100万円以上など)
- ☐ レベル1・2の建材があれば、届出の提出日(作業開始の14日前まで)
- ☐ 現場に掲示する調査結果の概要と、記録の保存先(3年間)
アスベストの事前調査は、解体の工程の一番最初に来る仕事です。結果が出る日、報告と届出の期限を先に決めてしまえば、解体の着手日もぶれません。
参考にした基準・資料
- 石綿障害予防規則(e-Gov 法令検索)第3条(事前調査・分析調査・記録の保存・掲示)、第4条の2(事前調査結果の報告)、第5条(作業届)
- 大気汚染防止法(e-Gov 法令検索)第18条の15(事前調査・説明・報告)、第18条の17(特定粉じん排出等作業の実施の届出)
- 令和2年厚生労働省告示第276号(事前調査を行う者)2023年10月1日施行
- 厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」事前調査の対象・報告の対象と時期
- 環境省「大気汚染防止法及び政省令の改正について」レベル1〜3の区分の説明
この記事は、僕が現場で聞いたこと・やってきたことを書きためたメモをもとにしています。一つの現場での例なので、思い違いもあるかもしれません。法令の内容は2026年10月時点で資料を確かめて書いていますが、改正されることがあります。実際の工事では、所轄の労働基準監督署・自治体と、最新の法令を確認してください。
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