鉄骨建て方の手順と段取り|当日までに決める重機・墨・工場検査

鉄骨工事:鉄骨建て方の手順と段取り|当日までに決める重機・墨・工場検査 11 鉄骨工事

11 鉄骨工事|段取り

  1. 段取り:この記事
  2. 施工中:—
  3. トラブル対処:アンカーボルトの位置ズレ・埋込み不足はどう直す?
ルー

来週の建方、クレーンと鳶さんの手配は済みました。当日はボルトの数を見ていればいいですか?

テツさん

当日はな、運ばれてきた物を組むだけだ。下の墨がずれてりゃ、鉄骨も一緒にずれるぞ。

ルー

……メモしました。

Kony

建方は当日より、それまでの段取りで決まる。工場検査から順番に並べてみよう。

下の墨とアンカー墨がずれれば鉄骨もずれる
工場検査ベースプレートの裏まで見る
吊り荷の下当日いちばん神経を使う所
建方の当日を「組み立ててもらうだけの日」にするための3つ

鉄骨建て方の手順で僕がいちばん大事だと思っているのは、当日の順番より、そこに行き着くまでの段取りです。この記事では、鉄骨造の現場で僕が建方の前にやってきたことを、工場検査・墨とアンカーボルト・建方前の打合せ・当日の安全の順に書きます。

鉄骨建て方は、当日より「それまでの段取り」で決まる

建方の当日に、納まりで神経を使うことはあまりありません。事前の段取りと図面がしっかりしていて、鉄骨の製品にずれがなければ、当日は工場で作られた物を組み立ててもらうだけです。大変なのは、そこまでの段取りです。

もう一つ、鉄骨造は建方で躯体ができあがらないと、次の工事にまったく進めません。屋根と外壁で建物を伏せてしまえば、中の内装工事と外壁工事を重ねて進められます。だから建方の日程は、全体の工程の要になります。

  1. 工場検査(監理者と)
  2. 下の墨とアンカーボルトの確認
  3. 建方前の打合せ
  4. 搬入・クレーンの据付け
  5. 建方
  6. 建入れ直し・本締め
図1建方までの段取りの流れ(僕の現場での順番の例。現場の条件で前後します)

建て方の順番より先に、下の墨とアンカーボルトを確かめる

建方で鉄骨の位置を決めるのは、下の墨です。柱心の墨に合わせて鉄骨を建てるので、墨がずれていれば鉄骨もずれます。ベースの高さがずれていれば、鉄骨の高さもずれます。

僕は墨出しをしてアンカーボルトをセットしたあと、コンクリートを打つ直前にもう一度、アンカーがずれていないかを確かめていました。ある鉄骨造の現場では、建方前の墨出しのときに、アンカーボルトの位置出しと、後打ちアンカーの本数を先に拾っておきました。

墨がずれてりゃ、鉄骨もそのままずれる。建方の日には直せねえぞ。テツさん(職長)

アンカーボルトの位置出しの進め方はアンカーボルトの位置出しの基本と手順に、ずれてしまったときの直し方はアンカーボルトの位置ズレ・埋込み不足はどう直す?に書いています。

工場検査は監理者と行き、ベースプレートの裏まで見る

鉄骨の工場検査は、監理者と一緒に行きます。製品の寸法を測るのが中心で、工場の中がきれいに片付いているかも見ます。

Konyの現場メモ

工場検査で僕が必ず見るのは、ベースプレートの裏(下側)です。溶接のこぶや出っ張りがあると、建方のときにベースの下に仕込む高さ調整材に当たって、数ミリですが柱の高さが変わってしまいます。調整材を置く場所も、裏を見てから決めています。

Q工場検査で、ベースプレートの裏に溶接のこぶを見つけた。建方に向けて、まず何を決める?

  • A建方の日に、現場で様子を見る
  • Bベースの下の高さ調整材を、こぶに当たらない位置に置くよう決める
  • C何もしない。数ミリなら関係ない
答えを見る

B こぶが高さ調整材に当たると、柱の高さが数ミリ変わります。工場検査で裏を見て、調整材を置く場所まで決めておくと、建方の日に慌てません。

建て方前の打合せで決めること|重機・搬入・仮ボルト・安全設備

建方の前には、鉄骨屋さん・鳶さん・クレーンの会社と打合せをします。そこで確かめる項目を表にしました。項目は一例で、現場の条件で増えたり減ったりします。

項目確かめること
体制職長・作業主任者・玉掛けと合図の担当者の資格、緊急時の連絡先
事前の調査上空の電線・地中の埋設物、搬入経路と通行の規制、近隣との取り決め
搬入搬入の日程・台数・時刻、場内の待機場所、荷下ろしの責任者
クレーン作業計画、据付け位置の地盤と敷鉄板、部材の重さと作業半径
吊り方玉掛けワイヤーと吊りピースの種類・数
仮ボルト・本締め仮ボルトの入れ方、高力ボルトの一次締め・マーキング・本締めの管理
安全設備昇降設備、親綱と支柱、安全ネット、立入禁止の範囲と見張りの担当
検査建入れ、ボルト、デッキプレートとスタッドの溶接の検査のしかた

安全設備は、道具の名前も覚えておくと打合せが早くなります。小梁に親綱の支柱(スタンション)を立てるときはキャッチプレート、親綱を張るときはガードロープを使いました。

鉄骨建方の安全設備を現場に搬入した様子
工事名
●●●工事
工種
鉄骨工事
内容
鉄骨建方 安全設備搬入

写真1鉄骨造の店舗の現場で、建方の前に安全設備を搬入したところ

建て方当日にいちばん神経を使うのは、吊り荷の下

建方の日に僕がいちばん神経を使うのは、クレーンで吊って下ろす作業で事故を起こさないことです。吊り荷の直下には人を立ち入らせない。玉掛けワイヤーを点検する。扱う物が重いので、けががそのまま大きな災害につながります。

クレーン 作業半径 吊り荷 吊り荷の下は立入禁止 建てる柱・梁
図2吊り荷が通る範囲を立入禁止にする考え方(模式図。範囲は作業計画で決めます)

安全に関わるところ

クレーンの据付け位置・作業半径と、立入禁止の範囲は、作業計画で決めて全員に伝えます。当日の都合で変えるときは、現場監督の判断だけで済ませず、クレーンの会社・鉄骨屋さんと計画を決め直してください。

建方が終わると、建入れ直し、高力ボルトの一次締め・マーキング・本締めと続きます。このあたりは鉄骨屋さんの段取りどおりに進むかを見ていく工程です。

鉄骨建方の建入れ直しをしている様子

写真2建方のあと、建入れ直しをしているところ(鉄骨造の店舗の現場)

高力ボルトの一次締めのあとにマーキングを入れている様子

写真3高力ボルトの一次締めのあと、マーキングを入れているところ(同じ現場)

ベースプレートの下は、無収縮モルタルを詰める

柱のベースプレートの下には、無収縮モルタルを詰めます。普通のモルタルだと収縮して、小さなすき間が空いてしまうからです。

グラウトの型枠を誰がするか、詰めるのは誰かは、現場によって分かれることがあります。僕は建方の打合せのときに担当を決めて、連絡がどちらか片方だけに行かないようにしています。ここは現場や会社の決まりで変わるので、自分の現場の分担で決めてください。

準備物チェックリスト(印刷して使う)

建方の前に、図1の順に通していきます。現場によって要らないものは消して使います。

  • ☐ 工場検査の日程(監理者と)と、見る項目(寸法・ベースプレートの裏)
  • ☐ 柱心の墨とアンカーボルトの位置・高さを、打設の直前にもう一度確かめた記録
  • ☐ 後打ちアンカーの本数と位置
  • ☐ 建方の打合せの記録(体制・搬入・クレーン・吊り方・仮ボルト・安全設備・検査)
  • ☐ クレーンの作業計画と、立入禁止の範囲
  • ☐ 安全設備(親綱・支柱・安全ネット・昇降設備)の数と搬入日
  • ☐ ベースの下の高さ調整材と、無収縮モルタルを詰める担当

段取りがよければ、建方の当日は「運ばれてきた物を組み立ててもらうだけ」の日になります。そこまでに、墨とアンカー、工場検査、打合せを順番に片付けておく。そのうえで当日は、吊り荷の下に人を入れないことに集中してください。

参考にした基準・資料

この記事は、僕が現場で聞いたこと・やってきたことを書きためたメモをもとにしています。一つの現場での例なので、思い違いもあるかもしれません。基準の数値は資料で確かめて書いていますが、実際の工事では設計図・特記仕様書・メーカーの資料を優先し、監理者に確認してください。

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