コーキング(シーリング)の選び方|被着体と仕上げで決める種類と目地の寸法

防水工事:コーキングの選び方被着体と仕上げで決める 13 防水工事

13 防水工事|資料

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コーキング(シーリング材)は、「とりあえずシリコンで」と言われがちな材料です。ところが種類を間違えると、塗装がのらない、水がかかる所に向かない、といった形で、あとから別の業者の仕事に響きます。

「とりあえずシリコンで」が、あとで塗装屋を一番困らせるんだ。テツさん(職長)

この記事は、公共建築工事標準仕様書(標仕)令和7年版の9章7節[シーリング]を正として、僕が現場で覚えてきた種類ごとの使い分けを補足に添えた早見表です。僕の覚え方と標仕が食い違う所は、標仕に合わせています。商品名と単価は載せていません。実際の工事では、特記仕様書とメーカーの資料が優先です。

この記事で分かること

  • コーキングの種類を「何と何をつなぐ目地か」と「上に何が載るか」で決める見方
  • 標仕の表9.7.1(被着体の組合せ)の主な行と、現場での覚え方との違い
  • 打つ前に決める目地の寸法、バックアップ材、二面接着の考え方
  • 内装(ボード・クロス・土間)での使い分け

種類は「何と何をつなぐ目地か」と「上に何が載るか」で決める

標仕は、シーリング材の種類を被着体の組合せで決めます。特記がなければ表9.7.1によります。異種のシーリング材が接する場合は、監督職員と協議します(9.7.2(2))。

迷ったときは、被着体は何と何か、上に塗装や仕上塗材が載るか、水回りかの3つを順に見ます。図1は、標仕の表のうち、よく出会う所だけを流れにしたものです。

何と何被着体の組合せ(表9.7.1の行)
上に載るか塗装・仕上塗材が載るか
水回りか浴室・キッチン・洗面台まわり
コーキングの種類は、この3つを順に見て決める
水回り(浴室・キッチン・洗面台まわり)か? はい SR-1 シリコーン系 (防かびタイプ) いいえ ALC・コンクリートの目地で、上に塗装が載るか? はい PU-2 ポリウレタン系 (仕上げあり) いいえ 表9.7.1 の被着体の行を見る 金属・ECP などは MS-2 変成シリコーン系が多い
図1シーリング材の種類を絞る流れ。数値・記号は標仕 令和7年版 表9.7.1による(被着体の組合せは多いので、実際は原本の表で確認します)

標仕 表9.7.1 の主な組合せ

表9.7.1は、被着体の組合せごとに記号と主成分を決めています。ここでは、打合せで出やすい行だけを抜き出しました。「仕上げあり」とは、シーリング材の表面に仕上塗材や塗装などを行う場合のことです。仕上げを行わない場合は特記によります。

被着体・場所記号主成分
水回り(浴室・浴槽、キッチン・キャビネット回り、洗面・化粧台回り)SR-1シリコーン系(防かびタイプの1成分形)
ガラス同士SR-1シリコーン系
ALC:仕上げなし/仕上げありMS-2/PU-2変成シリコーン系/ポリウレタン系
押出成形セメント板(ECP):仕上げなし/仕上げありMS-2/MS-2変成シリコーン系(仕上げありはノンブリードタイプ)
コンクリートの打継ぎ目地・ひび割れ誘発目地:仕上げなし/仕上げありPS-2/PU-2ポリサルファイド系/ポリウレタン系
タイルの伸縮調整目地PS-2ポリサルファイド系

ALCに使うシーリング材は、JIS A 1439に基づく養生後の引張接着性試験で、50%引張応力が0.2N/mm2以下の製品とされています(表9.7.1の注2)。水回りの記号がシリコーン系になっている点は、次の節で書く僕の使い分けと同じ向きです。

Q浴室まわりの目地。特記がなければ、標仕の表9.7.1ではどの系統?

  • Aシリコーン系(防かびタイプの1成分形)
  • Bポリウレタン系
  • Cアクリル系
答えを見る

A 水回り(浴室・浴槽、キッチン・キャビネット回り、洗面・化粧台回り)は SR-1、シリコーン系の防かびタイプです。シリコーン系はあとから塗装できないので、塗装が載る目地には使いません。

シーリング材4種類の得意・苦手(標仕の表が優先)

僕は種類ごとの得意と苦手を、「上から塗るか」「水に濡れるか」で覚えています。標仕の表は被着体で決める考え方で、こちらが正です。下の表は、種類の性格をつかむための補足として読んでください。

種類得意なこと苦手なこと標仕の表との関係
シリコーン系耐候性・耐水性・耐熱性がもっとも良好塗装できない。汚れやすい水回りとガラスで SR-1
変成シリコーン系耐候性がよく、塗装もできる常に水に触れる所には向かない金属・石・タイル・ECP などで MS-2
アクリル系ALC板の目地、塗装・クロスの下地処理に使える防火性はあまりない表9.7.1には出てこない
ウレタン系価格が安い強くない。塗装しない所には使えない仕上げありのALC・コンクリート目地で PU-2

ウレタン系は「見えない所か、絶対に塗装する所だけ」と決めて使っています。標仕でポリウレタン系が出てくるのが「仕上げあり」の行だけ、という点と合っています。安いから全部これで、と決めると、水がかかる所や塗装しない所で、あとから困ります。

アクリル系を、僕は「ALC板の目地に使うもの」と覚えていましたが、標仕の表9.7.1のALCの行は、仕上げなしが変成シリコーン系、仕上げありがポリウレタン系です。ここは標仕に従います。アクリル系は表9.7.1に出てこない種類なので、使いたい場合は特記仕様書とメーカー資料で確認し、異種のシーリング材が接する場合は監督職員と協議します(9.7.2(2))。

サッシまわりの捨てシーリングに使うシーリング材の缶(ポリウレタン系2成分形)

写真見えない所に使う例。サッシまわりの捨てシーリング用の、ポリウレタン系2成分形の缶です。ラベルで種類と JIS A 5758 の表示を確かめます(RC造の建物の現場)

打つ前に決める:目地の寸法・バックアップ材・接着の面数

種類が決まっても、目地の寸法が足りなければシーリング材は役目を果たせません。標仕は、特記がなければ次の寸法にしています(9.7.3、9.7.2(5)、9.7.4(2))。

項目標仕の値(特記がない場合)
コンクリートの打継ぎ目地・ひび割れ誘発目地幅20mm以上、深さ10mm以上
ガラス回りの目地幅・深さとも5mm以上(ガラス溝の寸法は16.14.3による場合を除く)
上記以外の目地幅・深さとも10mm以上。凹凸、広狭のない形状にする
バックアップ材の寸法裏面に接着剤がついているものは目地幅より1mm程度小さい。接着剤がついていないものは目地幅より2mm程度大きい
目地が深いときバックアップ材を装着して、所定の深さにする
目地が所定の深さのとき目地底にボンドブレーカーを用いて二面接着とする。動きの小さい打継ぎ目地、ひび割れ誘発目地、建具枠回りなどは三面接着にしてよい
102030深さ 10深さ10mm以上幅 20幅20mm以上
目盛りコンクリートの打継ぎ目地・ひび割れ誘発目地の寸法(特記がない場合)。幅20mm以上、深さ10mm以上(標仕 令和7年版。上の表の値)。
目地が深いとき シーリング材 バックアップ材 バックアップ材で深さを調整する 所定の深さのとき シーリング材 ボンドブレーカー 目地底に付けて二面接着にする
図2目地の断面の模式図(寸法は例ではなく、順番と考え方を示すだけです)。標仕 令和7年版 9.7.4(2)による

二面接着は、シーリング材を目地の両側面だけに付け、目地底には付けない考え方です。底にも付けると、目地が動いたときにシーリング材が底面でも引っぱられて、切れやすくなります。

施工の判断:天気・温度・順番

シーリングは、材料の性能の前に、打つ日の条件で決まる部分があります。標仕は次のように定めています(9.7.4)。

場面標仕の定め
天気降雨、多湿等により結露のおそれがある場合は、作業を中止する
温度プライマー塗布・充填時に被着体が5℃以下または50℃以上になるおそれのある場合は中止する。仮囲い、シート覆い等で保温・遮熱する場合はこの限りでない
仕上げとの順番充填は、原則として、仕上塗材等の施工前に行う
打ち始め目地の交差部または角部から打ち始め、打継ぎ箇所は交差部・角部を避けてそぎ継ぎにする
はみ出した材料充填箇所以外に付いたシーリング材は直ちに取り除く。ただしシリコーン系は硬化後に取り除く
材料の期限と事前確認有効期間を過ぎたものは使わない。外部に面するシーリング材は、施工前に接着性試験を行う(特記がなければ簡易接着性試験)

仕上げとの順番は、塗装屋さん・クロス屋さんとの取合いです。仕上げが載る目地は、打つ前に塗装工程の日を確かめておきます。シリコーン系を打った目地は、あとから塗れません。

外壁まわりでコーキングを施工しているところ

写真コーキングの施工状況(S造の店舗の現場)

内装の目地:ボード・クロス・土間との取合い

内装のコーキングは、ボードの話と必ずつながります。標仕は、せっこうボード張りの四周部や設備器具との取合い部の隙間に、適切な充填材を充填するとしています(19.7.3(6)(カ))。また、軽量鉄骨下地ボード遮音壁の遮音シール材には、JIS A 5758に基づくアクリル系、ポリウレタン系などのシーリング材か、ジョイントコンパウンドを使うとしています(19.7.2(8))。

現場の感覚でいうと、内装は上に塗装やクロスが載らない所なら、基本はシリコーン系で問題ありません。変成シリコーン系は表面がべたつくので、ほこりがくっつきやすいです。クロスの入隅(コーナー)などは、現場で「ジョイントコーク」と呼ぶアクリル系のコーク材が基本です。土間をコンクリート表しで仕上げる場合の目地には、ポリサルファイド系(現場でいう「ポリサル」)をよく使います。表9.7.1でも、仕上げなしのコンクリート目地は PS-2 です。

ボード側の選び方、留付け間隔、便器・洗面台の下地補強は、内装ボードの選び方|留付け・目地・便器洗面台の下地補強にまとめました。ケイカル板の目地と見切りはケイカル板の目地と見切り、壁と天井の組む順番は軽天工事の段取りで書いています。コーキングを打つ日は、これらの工程の中のどこに入るかを先に決めておきます。

打合せに持っていく3つの質問:①その目地は、何と何をつなぐか(表9.7.1のどの行か)。②上に塗装・クロスなどの仕上げが載るか。③水がかかる場所か。この3つが決まれば、種類と順番はほぼ決まります。

参考にした基準・資料

  1. 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版9章7節 シーリング:9.7.2(材料・表9.7.1 被着体の組合せ)、9.7.3(目地寸法)、9.7.4(施工)、9.7.5(接着性試験)。19章7節:19.7.2(8)(遮音シール材)、19.7.3(6)(カ)(四周部・設備器具との取合い部の充填)
  2. Kony の現場経験シーリング材の種類ごとの得意・苦手と使い分け。商品名・単価は載せていません

この記事は、僕が現場で聞いたこと・やってきたことを書きためたメモをもとにしています。一つの現場での例なので、思い違いもあるかもしれません。基準の数値は資料で確かめて書いていますが、実際の工事では設計図・特記仕様書・メーカーの資料を優先し、監理者に確認してください。

基準の数値は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準、メーカーの資料を確認してください。

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