暑中コンクリートの基準|25℃・35℃・90分の意味と、夏の打設で監督がやること

10 コンクリート工事|施工中

  1. 段取り:コンクリート打設の段取り
  2. 施工中:打設当日に監督が見るところ/この記事
  3. トラブル対処:雨の日の打設判断/コールドジョイント
テツさん

監督、今日は昼に35℃を超えるらしいぞ。前の区画、もう締まってきとる。次の車はまだか?

ルー

えっ、前の車からまだ1時間ちょっとですよ。いつもなら全然余裕ですよね?

Kony

夏は、その「いつもなら」が通用しない。25℃を超えたら、時間の決まりがひと回りずつ短くなるんだ。数字は3つだけ。順番に見ていこう。

結論

暑中コンクリートは、日平均気温の平年値が25℃を超える期間に打つコンクリートの扱いです(JASS 5。期間は特記で決めるのが原則)。押さえる数字は3つ。荷卸し時のコンクリート温度は35℃以下、練混ぜから打込み終了までは外気温25℃以上で90分以内(25℃未満なら120分)、打重ね時間間隔は120分が目安(同150分)です。現場で効くのは、1週間前に工場と出荷時刻と配合を相談しておくことと、当日は受入のたびに納入書の時刻で残り時間を見ること。そして、固くなっても現場で水は足しません。

暑中コンクリートの基準は「25℃・35℃・90分」

暑中コンクリートの扱いになる期間は、JASS 5では特記で決めるのが原則で、特記がなければ日平均気温の平年値が25℃を超える期間が目安です。その日の最高気温ではなく平年値で決めるので、「今日は涼しいから普通の扱い」にはなりません。どの期間が該当するかは、着工のときに特記と監理者に確かめておきます。

35℃以下

荷卸し時のコンクリート温度(JASS 5・暑中コンクリート)
外気温25℃以上の日は、練混ぜから打込み終了まで 90分以内
時間が全部短くなると考える

項目外気温25℃未満外気温25℃以上基準
練混ぜから打込み終了まで120分以内90分以内JASS 5
打重ね時間間隔の限度(目安)150分120分JASS 5
運搬時間(練混ぜ開始〜荷卸し地点到着)1.5時間以内JIS A 5308:2024

公共建築工事標準仕様書(令和7年版 6.6.2)も、練混ぜから打込み終了までを外気温25℃以下で120分以内、25℃を超えると90分以内としています。資料によって「以上・未満」と「以下・超える」の区切り方が少し違うので、25℃ちょうどの日は、その現場の特記に合わせて読んでください。

運搬時間と打込み終了までの時間は、終点が違う

若手がいちばん混同するのがここです。JIS A 5308 の運搬時間は、工場が練混ぜを始めてから、生コン車が荷卸し地点に着くまでの1.5時間。JASS 5 と標仕の90分は、練混ぜを始めてから、現場で打ち終わるまで。起点は同じで、終点が違います。

生コン1台の時間(外気温25℃以上の日の例)練混ぜ開始60分90分150分運搬(例:工場から60分)荷卸し・打込み打込み終了の限度(90分)を超える・渋滞・ポンプ停止で待たされた車は、納入書の時刻で残り時間を確認する・限度を超える車は打たない(工場と返品の扱いを確認)・打重ねの限度を超える区画は、打継ぎとして扱い、監理者と処理を協議する
図1時間の規定を超えそうなときの考え方(模式図)。打込み終了までの時間は JASS 5、運搬時間は JIS A 5308 の規定で、起点・終点が違う。

たとえば工場から現場まで60分かかった車なら、外気温25℃以上の日に残っているのは30分です。その30分に、ポンプ車の前での待ち、筒先の移動、締固めまで入ります。渋滞で10分遅れたら、残りは20分です。だから夏の打設では、受入のたびに納入書の時刻を見ます。運搬時間は、納入書に書かれた工場の発時刻と現場の着時刻で確かめられます。

僕の現場で:90分を超えて着いた車を帰した

夏場に、渋滞か遅れかで、90分を超えて現場に入ってきた生コン車がありました。打つ前に気づけたので、その車は打たずに帰しています。気づけたのは、受入のたびに納入書の時刻を見ていたからです。

超えた車を打たないのは、迷う話ではありません。困るのは、気づかずに打ってしまうことです。受入の場所で時刻を見る人を決めておけば、それは防げます。返す車の扱い(代わりの車、費用)は、工場と前もって決めておくと、当日揉めません。

夏の打設で起きやすい3つのトラブル

打重ねが間に合わない:コールドジョイント

先に打った層が固まり始めてから次を重ねると、上下が一体にならず、継ぎ目が残ります。夏は打重ねの限度が120分(目安)に縮むので、春秋と同じ区画割りでは間に合わないことがあります。出てしまったときの判断はコールドジョイントの対策にまとめています。

均した直後の表面のひび割れ

均した直後に表面の水が急に飛ぶと、表面に細かいひび割れ(プラスチック収縮ひび割れ)が出ます。日差しと風が強い日ほど出やすいので、押さえが終わったら早めに散水・シート・養生剤で乾かさないようにします。

「固いから水を足してくれ」

暑い日はスランプが落ちやすく、職人さんから「固いから水を足してくれ」と言われることがあります。現場で生コンに水を足すと、水セメント比が変わって強度と耐久性が落ちるので、僕は加水はしません。硬すぎると言われたときは、現場で生コン車に混和剤を入れてもらって対応したことがあります。ただ、現場で混和剤を後から入れるのは、配合計画と監理者の承認があってこそ使える方法です。使うかもしれない日は、1週間前の工場との相談で、どの混和剤をどう入れるかまで決めておきます。

生コンも人間も、乾かすとひび割れる。水は飲め、生コンには足すな。テツさん(職長)

猛暑の日の打設対策は、1週間前から

暑さは雨と違って、気温の予報で数日前から読めます。当日にできることは少ないので、手は前に打ちます。

いつやること
1週間前生コン工場に、出荷開始の前倒しと、暑い時期向けの配合(凝結を遅らせる混和剤など)を相談する。配合は当日には変えられない。日よけ・飲み物・交代要員など、熱中症対策の手配もここで
3日前出荷開始時刻と区画割りを固める。気温が上がる前に打ち終わる時刻表にし、1区画を、打重ねが120分に収まる大きさに割る
当日・打つ前型枠・鉄筋・打継ぎ面に散水して冷ます(水たまりは残さない)。受入では、コンクリート温度と納入書の時刻を毎台見る
当日・打った後均したら早めに散水・シート・養生剤で表面を乾かさない。人には休憩・水分・塩分・日陰
表1 猛暑の日の打設で、いつ何をするか

90分・120分を超えそうなときの決め方

生コン車が渋滞で遅れた、ポンプが止まった。こういうときにやることは、雨で止めるときとほぼ同じです。

  • 車ごとに残り時間を見る:納入書の時刻で、打込み終了までに間に合うかを確かめる。間に合わない車は打たない(返品の扱いは工場と確認)。
  • 打重ねが限度を超える区画は打継ぎにする:無理に重ねず、打継ぎとして扱い、処理を監理者と協議する。
  • 止める位置と合図の人を先に決める:出荷停止を工場に伝える人を1人に決めておく。考え方は雨の日の打設判断と同じです。

暑い日は、何もかもが少しずつ早く進みます。生コンが固まるのも、人がばてるのも。だから計画のほうを早めに回して、時刻表と区画割りで先に勝っておく。それができていれば、35℃の日もあわてずに済みます。

参考にした基準・資料

  1. 日本建築学会「建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」2022年版暑中コンクリートの適用期間と荷卸し時の温度、練混ぜから打込み終了までの時間、打重ね時間間隔
  2. 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版6.6.2 練混ぜから打込み終了までの時間(25℃以下120分・25℃超90分)
  3. JIS A 5308:2024 レディーミクストコンクリート(2026年に追補1)運搬時間(練混ぜ開始から荷卸し地点到着まで1.5時間以内。購入者と協議して変更できる)

この記事の確認日:2026年10月20日。基準は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準を優先し、監理者に確認してください。

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