05 杭工事|施工中
- 段取り:—
- 施工中:この記事
- トラブル対処:杭芯ずれが出たときの対応
杭頭処理の手順は、杭の種類で2つに分かれます。場所打ち杭は余盛りをA種500mm以上・B種800mm以上行い、その余盛りを設計の杭天端まではつります。既製杭・鋼管杭は、処理の内容をまず特記(その工事の特記仕様書や図面で指定されたこと)で確かめます。A種は無水掘り(掘り方の区分。どちらかは特記で指定される)、B種はそれ以外の場合です。ここでの数値と条番号は、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(以下、標仕)令和7年版によります。
杭打ちが終わって、地面から杭頭が見えてきた日に。
先輩、杭頭処理って、はつり屋さんに任せればいいんですよね?
その前に、特記と構造図で杭の種類と処理の方法を確かめて、監理者と立会いを決めておく。杭頭が見えたら、芯がずれていないかをトランシットで測って、図面に落として提出するところからだよ。
杭頭処理のやり方は、どの杭でも同じですか?
場所打ち杭と既製杭で分かれるんだ。場所打ち杭は標仕に余盛りの数字があって、既製杭は「特記による」。
特記って、「特に記すことなし」の略ですか?
逆だね、「特に記してある」ほう。今日は段取りの順番、杭の種類ごとの手順、いつやるか、立会いで見るところの順で話すよ。
結論
- 場所打ち杭:杭頭に、A種(無水掘り)なら500mm以上、B種(それ以外)なら800mm以上の余盛りを行う(標仕 令和7年版 4.5.5(3)(ケ)・表4.5.1。どちらの種別かは特記、4.5.4(2)(エ))。杭頭処理では、その余盛りを設計の杭天端まではつる。
- 既製コンクリート杭・鋼杭:杭頭の処理は特記による。杭の中空部にコンクリート等が落ちないよう、杭頭に措置をとる(4.3.8・4.4.6)。
- 監督は杭頭の高さと芯のずれを測り、杭頭処理の状態を記録する(既製コンクリート杭は4.3.9。鋼杭も、工法ごとに定められた条件以外は4.3.9による、4.4.7)。納まらない・高い・ずれたときは、構造設計者・監理者に確認する。
- 段取りの順番:特記・構造図を確かめる → 監理者と立会い・記録を決める → 根切り → 芯ずれを測る → はつり/特記による処理 → 記録 → 補強筋の納まりへ。
目次
- 杭頭処理の手順は杭の種類で2つに分かれる
- 場所打ち杭は余盛りを杭天端まではつる(A種500mm・B種800mm以上)
- 既製杭・鋼管杭は「特記による」:切断位置と中空部の落下防止
- 杭頭処理はいつやるか:根切りとの順番
- 立会いで監督が見るところと記録
- 納まらない・高い・ずれたときは自分で決めない
- よくある質問
杭頭処理の手順は杭の種類で2つに分かれる
杭頭処理の手順は、場所打ち杭なら「余盛りをはつる」、既製コンクリート杭・鋼杭なら「特記に書かれた処理をする」の2つに分かれます。標仕では、場所打ちコンクリート杭は余盛りの高さまで数字で決めているのに対して、既製コンクリート杭は「杭頭の処理は、特記による。」の一文で、鋼杭も「4.3.8 による」とその一文に従います。
ここで言う特記は、標仕の言葉で、その工事の質問回答書・現場説明書・特記仕様書・別冊の図面で指定されたことです。つまり既製杭の杭頭処理は、標仕を読んでも答えが出ず、その工事の特記仕様書と構造図を見て初めて決まります。
杭の種類が違っても、監督の段取りは次の順番で進めます。
- 特記・構造図で、杭の種類、杭天端のレベル、杭頭処理の方法、場所打ち杭なら余盛りの種別(A種・B種)を確かめる。
- 監理者と、立会いの時期と記録に残す項目を決める。
- 根切り。セメントミルク工法(4.3.4)の本杭は、建込み後7日間程度養生してから根切り・杭頭処理を行う。それ以外の杭は特記・施工計画書で時期を確かめる。
- 杭頭が見えたら、芯のずれを測って図面に落とす。
- 場所打ち杭は余盛りのはつり、既製杭・鋼杭は特記による処理。中空の杭は、中空部にコンクリート等が落ちない措置をとる。
- 杭頭の高さと杭頭処理の状態を記録する。
- 杭頭補強筋の納まりへ進む(杭頭補強筋の納まり検討)。
杭の種類ごとに、根拠の条と、監督が押さえることを1枚にまとめると次のとおりです。
| 杭の種類 | 標仕の条 | 杭頭処理の内容 | いつやるか | 記録(標仕) |
|---|---|---|---|---|
| 場所打ちコンクリート杭 | 4.5.5(3)(ケ)、表4.5.1、4.5.4(2)(エ) | 余盛り A種500mm以上・B種800mm以上(種別の適用は特記)。杭頭処理で設計の杭天端まではつる | 特記・施工計画書で確認 | 特記・施工計画書で確認 |
| 既製コンクリート杭 | 4.3.8(1)(2) | 特記による。中空部にコンクリート等が落下しない措置 | セメントミルク工法(4.3.4)の本杭は、建込み後7日間程度養生してから根切り・杭頭処理(4.3.4(6)(キ))。特定埋込杭工法(4.3.5)などは特記・施工計画書で確認 | 全ての杭について、水平方向の位置ずれ寸法、杭頭の高さ、杭頭処理の状態等(4.3.9)。特定埋込杭工法は、工法ごとに定められた条件以外は 4.3.9 による(4.3.5(7)) |
| 鋼杭(鋼管杭) | 4.4.6(→4.3.8) | 既製コンクリート杭と同じく特記による | 特記・施工計画書で確認 | 工法ごとに定められた条件以外は 4.3.9 による(4.4.7) |
場所打ち杭は余盛りを杭天端まではつる(A種500mm・B種800mm以上)
場所打ち杭の杭頭処理は、打設のときに杭頭へ余分に盛ったコンクリート(余盛り)を、設計の杭天端まではつり取る作業です。余盛りの高さは、標仕が「表 4.5.1 のA種の場合は、500mm 以上、B種の場合は、800mm 以上の余盛りを行う」と決めています。
表4.5.1 は場所打ち杭のコンクリートの種別の表で、備考では A種が「無水掘りの場合」、B種が「上記以外の場合」です。どちらを使うかは特記によります。ただし、場所打ち鋼管コンクリート杭工法や拡底杭工法(4.5.6)を使う場合は、工法ごとに定められた条件によります。ネットでは「余盛りは50cm以上が一般的」という説明も見かけますが、B種では800mm以上なので、まず特記でどちらの種別かを確かめます。
はつるときに気をつけたいのが、杭の主筋です。主筋をどこまで残して基礎にどう定着させるかは構造図で決まるので、はつりで切ったり傷めたりせず、残す長さや曲げの要否は構造図と監理者に確かめます(納まりは杭頭補強筋の納まり検討)。
もう一つは、設計の杭天端より下を割ったり欠いたりしないことです。天端の出し方(どこに印を付けて、どこまで機械ではつるか)は、専門業者の施工計画書で確かめます。はつりの作業手順と保護具、根切りの中への出入りも、作業に入る前に専門業者の施工計画書で確かめておきます。
既製杭・鋼管杭は「特記による」:切断位置と中空部の落下防止
PHC杭などの既製コンクリート杭と鋼管杭は、杭頭処理が「特記による」ので、切断の位置は特記仕様書・構造図で確かめ、切断の方法と切った後の処置は杭メーカー・杭の専門業者の仕様を確かめて監理者と決めます。杭頭の処理を特記に任せているのは標仕 4.3.8(1) です。鋼杭は 4.4.6 で「杭頭の処理等は、4.3.8 による。」とされ、既製コンクリート杭と同じ扱いです。
そのうえで標仕がはっきり書いているのが、中空部の扱いです。4.3.8(2) は「杭の中空部にコンクリート等が落下しないように、杭頭に適切な措置を講ずる。」としています。どんな措置にするかの形は書かれていないので、これも特記・構造図と、杭の専門業者の施工計画書で確かめます。
僕の現場では、杭頭の中に基礎の配合のコンクリートを、捨コンを打つタイミングで打ちました。中に何をどこまで入れるかは、僕が決めることではなく、特記と構造図で確かめる所です。捨コンの段取りは捨てコンと砕石地業の確認にまとめています。
杭頭補強筋の溶接や定着の長さはこの記事では扱いません。補強筋がどう納まるかは杭頭補強筋の納まり検討を見てください。
杭頭処理はいつやるか:根切りとの順番
標仕で時期まで書かれているのは、セメントミルク工法(4.3.4)の既製杭の本杭(試験杭ではない、本番の杭)で、建込み後7日間程度養生してから根切りと杭頭処理を行うという所です。原文は 4.3.4(6)(キ) の「杭は、建込み後、鉛直度を確認しながら杭心に合わせて保持し、7日間程度養生を行った後、根切り及び杭頭処理を行う。」です。
この条はセメントミルク工法の本杭の規定なので、特定埋込杭工法(4.3.5)や打込み工法の杭、場所打ち杭、鋼杭には広げて読みません。それ以外の杭は、特記と施工計画書で時期を確かめ、根切りの工程と並べて決めます。自分の現場の杭がどの工法かは、施工計画書の工法名で確かめます。根切りの重機の出入りは、掘削の段取り|杭工事中に決める重機の出入りにまとめています。
立会いで監督が見るところと記録
杭頭処理で監督が見るのは、杭頭の高さ、芯(水平方向の位置)のずれ、杭頭処理の状態の3つです。標仕 4.3.9 は既製コンクリート杭では、全ての杭について「…水平方向の位置ずれ寸法、杭頭の高さ、杭頭処理の状態等を記録する。」としています。特定埋込杭工法も、工法ごとに定められた条件以外は 4.3.9 によります(4.3.5(7))。鋼杭も、工法ごとに定められた条件以外は 4.3.9 によります(4.4.7)。
芯のずれは、杭頭が見えたところで測ります。僕の現場では、杭の施工が終わって杭頭が見えたら、トランシットで何mmずれたかを測り、図面に落として提出していました。図面には元々の杭の位置と、X・Y方向と斜め方向に何mmずれたかを書きました。
はつり(切断)に入る前に、監理者と立会いの時期と、記録に残す項目(杭頭の高さ・ずれ・杭頭処理の状態)を決めておきます。杭頭の高さの確かめ方(誰が・何で測るか)も、施工計画書と監理者との打合せで決めておきます。決まったことは、施工計画書や打合せ記録に残しておきます。
納まらない・高い・ずれたときは自分で決めない
杭頭処理の途中で「補強筋が納まらない」「杭頭が設計より高い」「芯がずれている」と分かったら、監督が自分で決めず、構造設計者・監理者に確認します。どれも基礎の構造に関わることだからです。
僕の現場では、杭頭処理や杭頭補強筋が納まらなかったとき、監理者に相談して、ふかし(基礎のコンクリートを図面より大きく打つこと)を認めてもらいました。構造に関わることほど、自分の判断にしないようにしています。
杭頭の高さ・芯のずれ・補強筋の納まりに問題が見つかったら、杭を切る・はつる・基礎を変えるといった処置を現場だけで決めず、構造設計者・監理者に確認してください。
場面ごとの進め方は、それぞれの記事にまとめています。
- 既製杭の杭頭が設計より高い:既製杭の高止まりは切る前に協議
- 杭の芯がずれていた:杭芯ずれが出たときの対応
- 杭頭補強筋が納まらない:杭頭補強筋の納まり検討
まとめると、次の一手は段取りの順番の最初の2つです。特記と構造図で杭の種類・杭天端のレベル・杭頭処理の方法(場所打ち杭なら余盛りの種別も)を確かめることと、はつり(切断)の前に監理者と立会いの時期と記録の項目を決めることです。
よくある質問
杭頭の余盛りは何cm(何mm)ですか?
標仕 令和7年版では、場所打ちコンクリート杭の余盛りは、A種(無水掘り)で500mm以上、B種(それ以外)で800mm以上です。どちらの種別にするかは特記によります。
杭頭処理のはつりは、どこまでやりますか?
場所打ち杭では、余盛りの部分を設計の杭天端まではつり取ります。どの高さが杭天端かは構造図・特記で確かめ、主筋は、はつりで切ったり傷めたりしないようにし、残す長さは構造図で確かめます。
鋼管杭の杭頭処理は、標仕でどう決まっていますか?
鋼杭は 4.4.6 で「杭頭の処理等は、4.3.8 による。」とされ、既製コンクリート杭と同じく「特記による」です。中空部にコンクリート等が落ちないよう杭頭に措置をとることも同じです。
PHC杭の杭頭は、どこで切断しますか?
標仕では杭頭の処理は「特記による」なので、切断の位置は特記仕様書・構造図で確かめます。切断の方法と切った後の処置は、杭メーカー・杭の専門業者の仕様を確かめて監理者と決めます。杭頭が設計より高く止まって切断を考えるときは、切る前に協議します(既製杭の高止まりは切る前に協議)。
杭頭処理は根切りの前ですか?後ですか?
セメントミルク工法(4.3.4)の既製杭の本杭は、標仕 4.3.4(6)(キ) で「7日間程度養生を行った後、根切り及び杭頭処理を行う」とされています。特定埋込杭工法(4.3.5)などそれ以外の杭は、特記と施工計画書で時期を確かめます。
杭頭処理では何を記録しますか?
既製コンクリート杭では、標仕 4.3.9 で、全ての杭について、水平方向の位置ずれ寸法、杭頭の高さ、杭頭処理の状態等を記録します。特定埋込杭工法(4.3.5(7))と鋼杭(4.4.7)は、工法ごとに定められた条件以外は 4.3.9 によります。
杭頭が設計より高い・低いときはどうしますか?
現場で決めず、構造設計者・監理者に確認します。既製杭が高く止まったときの進め方は既製杭の高止まりは切る前に協議にまとめています。
参考にした基準・資料
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」(最終改定 令和7年5月12日)1.1.1(4)・1.1.2、4.3.4(6)(キ)、4.3.5(7)、4.3.8、4.3.9、4.4.6、4.4.7、4.5.4(2)(エ)、4.5.5(3)(ケ)、表4.5.1、4.5.6 https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001888816.pdf(閲覧日 2026-10-26)
この記事の確認日:2026-10-26


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