玉掛けの333運動とは?30cm・3秒・3mの意味と点検色の見方

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揚重がある日の朝礼前、玉掛けの333運動を説明する番が新人監督のルーに回ってきました。

ルー

333運動って、3が3つなので3回確認すればいいんですよね?

テツさん

回数じゃねえよ。30cm、3秒、3mだ。

ルー

じゃあ、その3つは法律で決まってるんですか?

ミサキさん

数字は運動の決まりだよ。法令が決めているのは、点検や立入禁止のほう。

ルー

ワイヤーに巻いてある色テープは?おしゃれですか?

テツさん

毎月、色が決まってんだ。今月の色は計画表で見とけ。

Kony

数字の意味を知ると、見る場所が変わるよ。

結論

  1. 玉掛けの333運動は「地切り30cm」「停止3秒以上」「荷から3m離れる」の3つです。
  2. この数値は法令ではなく安全運動の決まりです。法令が求めるのは、玉掛用具の作業開始前点検や、ハッカー吊りなど決まった6つの場合の立入禁止です。吊り荷の下に入らないのは、どの吊り方でも前提です。
  3. ワイヤーロープの点検色は法令の決まりではなく、現場の運用です。僕の現場では毎月の色が月間計画表で決まっています。

玉掛けの333運動とは、30cm地切り・3秒停止・3m離れるの3つ

333運動(3・3・3運動)は、荷を吊るときに「30cmだけ地切りする」「3秒以上止める」「3m離れる」を順に守る玉掛けの安全運動です。厚生労働省のサイトに載っている建設業向けの安全衛生教材でも、この3つが「①地切り:30cm」「②停止:3秒以上」「③荷から離れる:3m」と書かれています。

僕の現場の安全衛生協議会の資料でも、決まりは同じ3つです。30cm地切りして荷の傾きを見る、3秒以上止めて荷崩れを見る、介錯ロープを持って3m離れる、という書き方です。単位は「cm・秒・m」の順で覚えてください。

ただし、どの団体でも同じ数値とは限りません。厚労省の「見える」安全活動コンクールには、地切りを「30cm以内の高さ」で一旦止めると書いた建設業の事例もあります。自分の現場の数値は、安全衛生協議会の資料か会社の安全担当に確かめるのが確実です。

それぞれの「3」で見るものは、傾き・荷崩れ・荷とワイヤーの再確認

3つの数字には、それぞれ見るものがあります。教材では、30cmで「荷のバランス(傾きがないか)」、3秒以上の停止で「荷姿(荷崩れしないか)」、3m離れて「荷とワイヤーの再確認」と書かれています。

荷 30cm 3秒以上止めて荷崩れを見る 介錯ロープ 3m 離れた位置から荷とワイヤーを再確認
図1333運動の3つの数字(模式図・縮尺は合っていません)。数値は厚生労働省掲載の教材の表記

玉掛けのガイドラインは、地切りのときに吊り荷の状況を確認し、必要なら再度着地させて玉掛けをやり直すよう求めています。

見るときの立ち位置も大事です。ガイドラインは、玉掛け者が「安全な位置に退避した上で、合図者に合図を行う」こと、クレーンの作動中は「直接つり荷及び玉掛用具に触れない」ことを求めています。地切りの合図の前にワイヤーと荷から手を離し、離れた位置から荷を見て、荷を手で直さないのが基本で、直すのは下ろしてからです。どこに立つかは作業計画で決まるので、合図者と職長に確かめてください。

3m離れる理由を、僕は「荷が振れても当たらない位置へ、巻き上げる前に下がっておくため」と理解しています。協議会資料では、バックホウで吊った敷鉄板が振れ、よけた人が掘削の底に落ちた事例が共有されていました。オペレーターが合図者の指示なしに動かしていた、とも書かれていました。この事例を聞いてから、僕は離れる距離と合図をセットで見るようにしています。

① 30cm地切りして止める 荷が傾いていないか? はい ② 3秒以上止めて、荷崩れしないか? はい ③ 介錯ロープを持って3m離れ、再確認 合図して巻き上げる いいえ いいえ 下ろして 玉掛けをやり直す
図2333運動の判断の流れ。数値は教材、やり直しはガイドライン(基発第96号)第3の4(2)ハ

333運動は法令の数値ではない。法令が決めているのは点検と立入禁止

30cm・3秒・3mは、法令にも国のガイドラインにも書かれていない数値です。ここに、基準と現場のズレが1つあります。基準では、ガイドラインが「地切り時につり荷の状況を確認」と求めるだけで、高さや秒数は決めていません。でも僕の現場では、これを30cm・3秒以上・3mという数字で決めています。数字にしておくと、新しく入った職人さんにも同じ動きを1回で伝えられるからだと僕は理解しています。

前提として、吊り荷の下には、どの吊り方でも入りません。ガイドラインは、吊り荷を誘導するときに「つり荷の下に労働者が立ち入っていないこと」を確認するよう求め、入ったらクレーン操作を直ちに中断して退避させるよう求めています。そのうえで、法令が特に定めていることを表にまとめます。

項目中身決めているもの
333運動地切り30cm・停止3秒以上・3m離れる安全運動(教材・会社・協議会)
作業開始前の点検玉掛用具(ワイヤロープ・つりチェーン・フックなど)の異常の有無を、その日の作業を始める前に点検。異常があれば直ちに補修クレーン等安全規則 第220条
使ってはいけないワイヤロープ1よりの間で素線の10%以上が切断/直径の減少が公称径の7%を超える/キンク/著しい形くずれ・腐食同 第215条
安全係数玉掛用ワイヤロープは6以上同 第213条
立入禁止を法令が特に定める場合ハッカー使用、つりクランプ1個、1か所吊り(穴・アイボルトに通す場合を除く)など6つの場合(移動式クレーン)同 第74条の2
点検色月ごとのテープの色(条文に色の決まりはない)現場・協議会の運用

第74条の2は、ハッカーで吊るとき、1か所で吊るときなど、決まった6つの場合に、吊り荷の下への労働者の立入りを禁止するよう事業者に義務づける条文です。6つに当たらない吊り方なら入ってよい、という意味ではありません。

立入禁止の区画そのものも、現場で工夫されています。協議会では、建災防の事例集から、立入禁止区画を越えて隣のクレーンの旋回範囲に入り、カウンターウエイトに挟まれた例が共有されました。対策は区画を2重にすること、クレーン同士が近いときに監視人を置くことでした。

必ず確認すること

立入禁止の範囲、合図の方法、離れる距離は、現場の作業計画で決まります。3mは運動の数値で、大きい荷や長い荷で足りるかは作業計画しだいです。新人監督の判断で変えず、所長や会社の安全担当・合図者・職長に確認してください。

ワイヤーロープの点検色は、僕の現場では毎月の色が決まっている

ワイヤーロープの点検色は、法令で決まった色ではなく、現場や協議会の運用です。クレーン等安全規則の点検の条文(第220条)や不適格なワイヤロープの条文(第215条)に、色の決まりはありません。僕の現場では、月間計画表に毎月の点検色が載っていて、1月は緑、2月は黄、3月は赤、4月は白という並びです。

月1月2月3月4月
僕の現場の点検色緑黄赤白

5月以降の色も、月間計画表で確かめてください。同じ4色を4か月で1周させ、「みぎあし(緑・黄・赤・白)」の語呂で覚える建設業の事例も、厚労省の「見える」安全活動コンクールに載っています。ただし色の割り当ては現場ごとに違うので、自分の現場の表で見ることが先です。

色の決まりがあっても、第220条の点検はその日の作業開始前に行うものです。月間計画表の予定欄には朝礼・KY・工程会議の日程も並んでいるので、点検色と一緒に見ておくと1枚で今月の段取りがつかめます。

次の揚重の前にやること

  1. 安全衛生協議会の資料で、自分の現場の333の数値(30cmか30cm以内かなど)を確かめる。
  2. 月間計画表で、今月のワイヤーロープの点検色を確かめる。
  3. 色とは別に、その日の作業開始前点検(第220条)が行われているかを職長に確かめる。

よくある質問

333運動は法律で決まっていますか?

決まっていません。30cm・3秒・3mは安全運動の数値です。法令はクレーン等安全規則で、玉掛用具の作業開始前点検(第220条)や、ハッカー吊りなど6つの場合の立入禁止(第74条の2)などを定めています。吊り荷の下に入らないのは、どの吊り方でも前提です。

地切りは30cmちょうどでないといけませんか?

教材の表記は「30cm」、コンクールの事例には「30cm以内」もあります。現場の決まりに合わせ、迷ったら会社の安全担当や所長に確認してください。

点検色が今月の色ではないワイヤーを見つけたら?

色の扱いは現場の決まりなので、使う前に職長に声をかけてください。第215条の4つ(素線切れ・径の減少・キンク・形くずれや腐食)に当たるものは使えません。

参考にした基準・資料

  1. 外国人労働者に対する安全衛生教育教材作成事業(建設業)「鉄筋施工業務及び鉄筋継手業務」2020.3(厚生労働省ウェブサイト掲載)p.4「(4)玉掛け作業の3・3・3運動」(閲覧日 2026-10-28)
  2. 労働省労働基準局長「玉掛け作業の安全に係るガイドラインの策定について」平成12年2月24日 基発第96号第3の4(2)ハ(地切り時の確認・やり直し、退避してから合図)、第3の4(3)ロ(吊り荷の下に立ち入っていないことの確認)、第3の5(1)ホ(作動中は吊り荷・玉掛用具に触れない)、第3の4(4)ハ(吊り荷の下に入ったときの中断・退避)(閲覧日 2026-10-28)
  3. クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)厚生労働省 法令等データベース第74条の2(閲覧日 2026-10-28)。第213条第1項・第215条・第220条は 同データベースの2ページ目
  4. 厚生労働省 平成28年度「見える」安全活動コンクール『玉掛作業時の3・3・3運動』の見える化(建設業)(閲覧日 2026-10-28)
  5. 厚生労働省「見える」安全活動コンクール「玉掛けワイヤ-始業前点検色識別の見える化」(建設業)ページに年度の記載なし(URL は 2020)(閲覧日 2026-10-28)

基準の数値は改正で変わることがあります。実際の作業では、現場の作業計画と最新の法令を確認してください。

この記事の確認日:2026年10月28日

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