21 設備との取り合い|段取り
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設備屋さんが、梁の鉄筋をちょっと寄せてスリーブを入れてました。手際いいですね!
それ、鉄筋屋に言ってあるのか。黙って寄せたら、あとで揉めるぞ。
……え、僕が聞いておくべきでした?
取り合いの揉めごとは、だいたい順番と連絡の食い違いから起きる。監督が先に決めておくことを並べよう。
この記事で分かること
- 建築と設備の取り合いで、監督が間に入って決めること
- 梁貫通スリーブ・インサート・吹付けウレタン・土間の排水で、先に決めておく順番
- 現場で直せること、直して報告すること、構造設計者・監理者の指示を仰ぐことの分け方
建築と設備の取り合いは、図面だけでは決まらず、現場の順番と連絡で決まるところが多いと僕は感じています。この記事では、梁貫通のスリーブ、型枠に仕込むインサート、吹付けウレタン、土間の排水の側溝で、僕が経験した揉めごとと失敗から、先に決めておくことをまとめます。
取り合いの揉めごとは、職人さんどうしの順番と連絡の食い違いから起きる
鉄筋屋さんと設備屋さんの連携が取れていないと、設備屋さんが鉄筋屋さんの組んだ鉄筋をずらしてスリーブを仕込み、鉄筋屋さんが「わしらが組んだ鉄筋を勝手にずらした」と怒って揉めます。僕の現場でも実際にありました。
鉄筋屋さんは自分の仕事に誇りがあるだけで、設備屋さんにも悪気はありません。どちらも元請けの下の協力会社なので、調整は監督の仕事です。設備屋さんから「このタイミングで梁貫通をしたい」と言われたら、鉄筋屋さんに「設備屋さんがこうしたいと言っているけど、この日でいいですか」と相談して、お互いの意見を立てながら納めます。
梁貫通スリーブは、配筋検査の前に位置の制限と照らす
梁の貫通スリーブの位置が制限に引っかかったら、まず規定の範囲の位置に戻します。それでもだめなら、設計者・監理者に連絡して相談し、構造的に補強が要るならそのとおりにします。構造の弱点になるようなことは、絶対にしてはいけません。
Konyの現場メモ
配筋検査で、梁貫通スリーブが柱から離すべき範囲に入っていると指摘されたことがあります。その梁は長さが短く梁せいが大きくて、そもそも設計の段階で納まっていませんでした。僕も指摘されるまで気づかず、構造設計者に確認して、梁を補強して納めました。
構造に関わるところ
梁貫通の位置・大きさ・補強は、梁の強さに関わります。柱からの距離や孔の大きさの制限は構造設計図の標準図・特記で決まるので、現場監督の判断で済ませず、監理者に報告して、必ず構造設計者・監理者の指示を仰いでください。
配筋検査で指摘されやすい所は配筋検査で指摘されやすい箇所|本数より重ね・あき・かぶりを先に見るにまとめています。
型枠に仕込むインサートは、梁貫通や足場つなぎとぶつかることがある
RC の現場で、型枠に仕込んだ足場つなぎのインサートが、梁貫通の位置にちょうどかぶっていたことがあります。設備屋さんは梁貫通をするときに分かっていたはずなのに、何も伝えてくれず、揉めました。
スリーブ・インサート・足場つなぎは、それぞれ別の職人さんが入れます。誰かが気づいていても、監督まで伝わらなければ同じことが起きます。天井の吊りボルトとダクトの取り合いは軽天工事の段取り|壁・設備・天井の順番と、吊りボルトで揉めない決め方に書いています。
分かってたなら一言くれ、ってやつだな。言うのは監督の役目だ。テツさん(職長)
吹付けウレタンの前に、インサート・配管・火を使う作業の順番を決める
RC で先にウレタンを吹くと、スラブの型枠の段階で打ち込んだインサートの穴が埋まって、下から見てまったく分からなくなります。吹く前に、インサートに割り箸などを差しておきます。忘れると、せっかく仕込んだインサートが使えなくなります。デッキプレートでも同じです。
吹付けウレタンと天井内の設備配管は、設備を先にする場合と後にする場合の両方があり、内装の仕様で変わります。設備配管のあとに吹くなら、配管をビニールなどでしっかり養生してから吹きます。養生を設備業者と吹付けの業者のどちらがするかは、よく相談して決めます。僕の現場では設備業者にやってもらいましたが、どちらが正解かは現場で変わります。
- 溶接など火を使う作業を終える
- インサートに目印を差す
- 配管が先なら、配管を養生
- ウレタン吹付け
- 目印を頼りに吊り物を付ける
安全に関わるところ
ウレタンは燃えやすく、燃え広がります。溶接などの火を使う作業は、ウレタンの吹付けの前に終わらせておきます。電線や発熱の大きい機器は、吹くと熱がこもるので、養生の仕方を設備業者とよく考えてください。
土間の排水の側溝・マスは、鉄筋と土間の厚さから先に決める
土間排水の側溝(現場ではレインシューターと呼んでいた製品)は、底のコンクリートだけ先に打ちます。底のコンクリートの部分は、土間の厚さ分を必ず確保します。底のコンクリートがはみ出すと、上の鉄筋のかぶりが取れなくなるからです。
マスも同じです。洗車場のマスは配管が横に出るので、鉄筋をどう納めるかを鉄筋屋さんと設備屋さんに相談して決めました。打設のときにマスの位置が分かるよう、マーキングしておくべきだったというのが僕の反省です。土間の配筋の上には、鉄筋の上を歩きやすくする通路材を敷いていました。土間の打設の段取りは土間コンクリートの打設計画|1日150m³を打ち切る時刻表と打つ順番に書いています。

写真1鉄骨造の店舗の現場で、土間排水の側溝の底のコンクリートを打っているところ
取り合いを決める打合せで話すこと
ここまでの話を、打合せで決めることとして表にしました。相手が2者以上になる所ほど、監督が日にちと順番を決めて伝えます。
| 取り合い | 先に決めること | 話す相手 |
|---|---|---|
| 梁貫通スリーブ | 入れる日と、鉄筋をずらすかどうか。位置が制限に入っていないか | 設備屋さん、鉄筋屋さん(制限に入るなら構造設計者・監理者) |
| インサート | スリーブ・足場つなぎのインサートとぶつからないか | 設備屋さん、鳶さん、型枠の大工さん |
| 吹付けウレタン | 設備配管が先か後か、配管の養生を誰がするか、インサートの目印、火を使う作業を終える日 | 設備業者、吹付けの業者 |
| 土間の側溝・マス | 底を先に打つ範囲と厚さ、鉄筋の納め方、マスの位置の印 | 設備屋さん、鉄筋屋さん、土間の職人さん |
取り合いの失敗は、どれも「誰かは分かっていたのに、伝わっていなかった」で起きていました。職人さんどうしに任せず、監督が日にちと順番を決めて間に入る。構造に関わる所だけは、迷わず構造設計者・監理者に上げる。僕が取り合いで意識しているのは、この2つです。
参考にした基準・資料
この記事は、僕が現場で聞いたこと・やってきたことを書きためたメモをもとにしています。一つの現場での例なので、思い違いもあるかもしれません。基準の数値は資料で確かめて書いていますが、実際の工事では設計図・特記仕様書・メーカーの資料を優先し、監理者に確認してください。
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