ガス圧接の検査方法|監督が見る外観6項目と抜取り試験

地中梁の鉄筋のガス圧接部に探触子を当てて、超音波探傷試験をしている検査員(顔はぼかしている) 08 鉄筋工事

08 鉄筋工事|施工中

  1. 段取り:—
  2. 施工中:この記事
  3. トラブル対処:—

ガス圧接の検査方法は、全ての圧接部の外観を公共建築工事標準仕様書(以下、標仕)5.4.4 の値で見て、中の欠陥を抜取りの超音波探傷試験か引張試験で見る2段です。どちらの試験にするかは特記(その工事の特記仕様書)で決まり、特記がなければ超音波探傷試験です。

圧接の日の朝、柱の主筋の前で。

ルー

先輩、ガス圧接の検査方法って、超音波の業者さんに任せればいいんですよね?

Kony

外から見る形は僕らも測るよ。ふくらみの直径1.4d以上・長さ1.1d以上、偏心d/5以下。d は細い方の鉄筋径ね。

ルー

目で見て「いい感じ」なら、それでOKじゃないんですか?

Kony

僕は測定器を当てて、直径と長さが足りているかを確かめていたよ。「いい感じ」は合否の値に書いてないからね。

ルー

じゃあ超音波は何を見るんですか?

Kony

外から見えない中の欠陥だね。外観と抜取りの2段で、順に見ていこう。

結論

  • 外観は全ての圧接部で見る。ふくらみの直径1.4d以上・長さ1.1d以上、圧接面のずれd/4以下、偏心d/5以下、折れ曲り2°以下、片ふくらみd/5以下(d は細い方の鉄筋径。標仕 令和7年版 5.4.4・5.4.10)。
  • 中は抜取りで見る。超音波探傷か引張かは特記で、特記がなければ超音波探傷。超音波探傷は1ロット(1組の作業班が1日に圧接した箇所)30か所を無作為に抜き取り、全て合格でロット合格(5.4.10)。
  • 不合格の処置は 5.4.11 で決まっている。監督は圧接の前に、施工計画書で試験の種類・数・処置を確かめる。

ガス圧接の検査は「外観」と「抜取りで中を見る」の2段

ガス圧接の検査は、全ての圧接部の形を見る外観試験と、抜き取って中の欠陥を見る試験の2段です。外観で見るのは、ふくらみの形状・寸法、圧接面のずれ、偏心、折れ曲り、片ふくらみ、焼割れ、へこみ、垂下がり、その他有害と認められる欠陥です。僕の現場でも、外観で直径・長さ・中心軸のずれを見てから、超音波(UT)の波形で中に空洞がないかを確かめる流れでした。

正式な外観試験と超音波探傷試験は、技能資格者で、その工事の圧接部の品質管理を行っていない者が行います(標仕 5.4.3)。それでも監督は当日、自分でも測定器を当てて確かめます。鉄筋全体の検査で何を言われやすいかは配筋検査でよく言われることにまとめています。

外観検査で見る6項目と合否の値

外観の合否は、標仕 5.4.4 の値で決まります。d を使う5項目は、すべて「鉄筋径(径の異なる場合は細い方の鉄筋径)」で見ます。

項目何を見るか合否の値D19 の例D25 の例
ふくらみの直径ふくらみの太さ1.4d 以上26.6mm 以上35mm 以上
ふくらみの長さふくらみの長さと、形がなだらかか1.1d 以上20.9mm 以上27.5mm 以上
圧接面のずれふくらみの中での圧接面の位置のずれd/4 以下4.75mm 以下6.25mm 以下
偏心2本の鉄筋の中心軸どうしのずれd/5 以下3.8mm 以下5mm 以下
折れ曲り圧接部で鉄筋が折れていないか2° 以下2° 以下2° 以下
片ふくらみふくらみが片側に偏っていないかd/5 以下3.8mm 以下5mm 以下

表1 外観6項目の合否の値(標仕 令和7年版 5.4.4)。d は細い方の鉄筋径。D19・D25 の欄は、呼び名の数字を d として Konylog が計算した例。このほか「強度に影響を及ぼす焼割れ、へこみ、垂下がり及び内部欠陥がないこと」も求められています(5.4.4)。

ガス圧接部の外観で測る寸法:ふくらみの直径・長さと偏心 左の細い方の鉄筋と右の鉄筋が圧接面でつながり、ふくらみができている。ふくらみの直径は1.4d以上、長さは1.1d以上、左右の鉄筋中心軸のずれ(偏心)は d/5 以下。d は5項目すべてで細い方の鉄筋径。D25 の例では 1.4d=35mm、1.1d=27.5mm、d/5=5mm、d/4=6.25mm。 施工中 d は細い方の鉄筋径(d を使う5項目すべて) 折れ曲り ≦ 2°・片ふくらみ ≦ d/5 は図では省略 圧接面の位置 d(細い方) 直径 ≧ 1.4d 長さ ≧ 1.1d 偏心 ≦ d/5 (中心軸どうしのずれ) D25 の例(圧接面のずれ ≦ d/4 も同じ d で計算) 1.4d=35mm 1.1d=27.5mm d/5=5mm d/4=6.25mm
図1 圧接部の外観で測る寸法(模式図。偏心は見やすく大きめに描いている)。標仕 令和7年版 5.4.4の値をもとに Konylog が作図。

圧接面のずれは、ふくらみの中での圧接面の位置のずれで、2本の鉄筋の軸どうしのずれ(偏心)とは別物です。外観試験の方法は目視で、必要に応じてノギス、スケールその他適切な器具を使います(5.4.10)。国交省は、スケール等の代わりにデジタルカメラ等の画像で測る試行要領も出しています。

測るのは圧接部が冷えてから。作業中は火気と高温部に近づかないでください。

よくある誤解

  • 値の出典を JIS Z 3120 と書く記事があるが、公共建築の工事で使う値は標仕 5.4.4 と特記で決まる。
  • 偏心を「5mm まで」と mm で覚えるのは間違い。5mm は D25 の d/5 で、D19 なら3.8mm。D19 の現場に D25 の物差しを持ち込むと、1.2mm ぶん甘い検査になる。

抜取り検査:特記がなければ超音波探傷、1ロット30か所

ここに書いた数・合否・処置は標仕(公共建築)のものです。特記が別の仕様書を指定していれば、その仕様書と特記に従います。

抜取り検査で超音波探傷試験と引張試験のどちらを使うかは特記で決まり、特記がなければ超音波探傷試験です(標仕 5.4.10)。超音波探傷試験の決まりは次のとおりです。

  • 1ロットは、1組の作業班が1日に行った圧接箇所。
  • 試験の箇所数は1ロットに対して30か所で、ロットから無作為に抜き取る。
  • 判定は JIS Z 3062(鉄筋コンクリート用異形棒鋼ガス圧接部の超音波探傷試験方法及び判定基準)による。
  • ロットの全ての試験箇所が合格と判定されたら、そのロットを合格とする。

下の2枚は、僕の現場で圧接部の超音波探傷試験をしたときの写真です。1枚目は、検査員が地中梁の鉄筋の圧接部に探触子(超音波を出して受ける部品)を当てているところ。2枚目は探傷器の画面で、ここに出る波形で圧接部の中に欠陥がないかを判定します。判定の基準は JIS Z 3062 で、試験と判定は検査員が行います。

地中梁の鉄筋のガス圧接部に探触子を当てて、超音波探傷試験をしている検査員(顔はぼかしている)
工事名
●●●工事
工種
鉄筋工事
内容
圧接部 超音波探傷試験
鉄筋のガス圧接部の超音波探傷試験で、探傷器の画面に表示された波形
工事名
●●●工事
工種
鉄筋工事
内容
超音波探傷 波形確認

引張試験を使う場合、その方法等は特記によります。どちらの場合も、試験の種類とロットの分け方が施工計画書に書かれているかを、圧接の前に確かめます。

抜取り試験の結果と不合格箇所の処置は、型枠を閉じる前・打設の前に終える段取りにしておきます。

不合格だったときの処置は標仕 5.4.11 で決まっている

外観の手直しは 5.4.11 と施工計画書どおりに行って記録を残し、切り取って再圧接するもの・ロット不合格は監理者と協議してから進めます。処置は標仕 5.4.11 で、不合格の内容ごとに決まっています。

不合格の内容処置(標仕 5.4.11)
外観:ふくらみの直径または長さが規定値に満たない再加熱し、加圧して所定のふくらみに修正
外観:折れ曲りが規定値を超えた再加熱して修正
外観:圧接面のずれ、偏心、片ふくらみ、焼割れ等切り取って再圧接
抜取りでロットが不合格直ちに作業を中止し原因を調査。不合格ロットの残り全ての圧接部に超音波探傷試験。再開前に再発防止策を定めて監督職員の承諾。不合格箇所は監督職員と協議して切り取り再圧接
処置の後外観試験と超音波探傷試験で再試験し、記録を監督職員に提出

表2 不合格時の処置(標仕 令和7年版 5.4.11をもとに Konylog が整理)。監督職員は標仕の言葉で、民間工事では特記・契約で誰に当たるかを確かめます。

圧接部の不合格は、構造の性能に直結します。処置の方法と再試験のやり方は、構造設計者・監理者に確認してから進めてください。

径や鋼種が違う鉄筋の圧接:径の差が7mmを超えたら圧接しない

鉄筋の種類が違う場合と、径の差が7mmを超える場合は圧接しません。ただし SD345 と SD390 の組み合わせは圧接できます(標仕 5.4.5)。

境目の言葉は「7mm 以上」ではなく「7mm を超える」です。圧接できる組み合わせでも、径が違う継手は外観の値を細い方の径で見ます。特記に別の定めがあれば、それに従います。鉄筋の径と本数の拾い方は鉄筋数量拾いにまとめています。

まとめ

  1. 圧接の前に、施工計画書で抜取り試験の種類・数・不合格時の処置を確かめる。
  2. 当日は、ふくらみの直径・長さと偏心を、冷えてから自分でも当てて確かめる。
  3. 不合格は標仕 5.4.11 の処置どおりに進め、監理者に確認する。

ほかの検査の記事も、スタッド溶接の検査方法と立会い、高力ボルト本締めの検査と同じ考え方で書いています。

よくある質問

外観検査では何を確認しますか?

全ての圧接部で、ふくらみの直径・長さ、圧接面のずれ、偏心、折れ曲り、片ふくらみと、焼割れ・へこみ・垂下がりなどの欠陥を見ます。値は表1のとおりです。

偏心は何mmまでですか?

径で変わります。細い方の鉄筋径の d/5 以下で、D19 なら3.8mm、D25 なら5mm です(呼び名の数字を d とした計算例)。

超音波探傷と引張試験、どちらになりますか?

特記で決まり、特記がなければ超音波探傷試験です。超音波探傷は1ロット30か所を無作為に抜き取ります(標仕 5.4.10)。

径の違う鉄筋は圧接できますか?

径の差が7mmを超える場合と、鉄筋の種類が違う場合は圧接しません(SD345 と SD390 は可)。特記に別の定めがあればそれに従います。

外観の合否の値は JIS で決まっているのですか?

公共建築の工事では、標仕 5.4.4 の値と特記で決まります。

不合格ならどうしますか?

直径・長さ不足は再加熱・加圧、折れ曲りは再加熱して修正します。ずれ・偏心・片ふくらみ・焼割れ等は切り取って再圧接です。ロットが不合格なら作業を止め、残り全てを超音波探傷します(標仕 5.4.11)。進める前に監理者に確認します。

参考にした基準・資料

  1. 国土交通省 大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」5.4.3、5.4.4、5.4.5(2)、5.4.10、5.4.11(印刷頁34〜36)(閲覧日 2026-10-02・2026-10-26)
  2. 国土交通省 大臣官房官庁営繕部「官庁営繕事業の建設現場におけるデジタルデータを活用したガス圧接継手外観検査試行要領」令和5年3月 1.2(1)・1.3(1)・2.2(1)・表-1 https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001594737.pdf(閲覧日 2026-10-26)
  3. JIS Z 3062「鉄筋コンクリート用異形棒鋼ガス圧接部の超音波探傷試験方法及び判定基準」(題名は標仕 令和7年版 5.4.10(イ)(a)③ による)

この記事の確認日:2026-10-26

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