安全衛生協議会とは?「毎月1回」は指針|議題の順と準備する資料

管理の基本:安全衛生協議会とは?議題の順と準備する資料 管理の基本
ルー

来週の安全衛生協議会って、協力会社さんが集まる会ですよね。僕は後ろの席で聞いていればいいですか。

ミサキさん

開くのはうちよ。議題の紙も、名簿も、パトロールの写真も、作るのは監督。

ルー

えっ、僕が作るんですか。安全のことを全部決める大会議なのに。

テツさん

職長が聞きたいのは、来月どこで何をやるのか、何を直せと言われたのか、だけだよ。そこが分かれば十分。

Kony

協議会は「全部決める会」というより、元請と協力会社さんが「同じ紙を見る会」なんだ。だから、紙を作る人がいちばん準備がいる。

結論

  1. 安全衛生協議会は、元請(特定元方事業者)が開き、全ての協力会社が参加する「協議組織」の会議です。労働安全衛生法30条と安衛則635条の義務です。
  2. 条文が求めるのは「定期的に開催」まで。「毎月1回以上」は厚労省の指針で、曜日・時刻・議題の順番は現場で決めます。
  3. 若手監督が準備するのは、パトロール結果・翌月の月間安全衛生管理計画・安全トピックス・教育資料・名簿(表2)。決めたことは議事録で配り、朝礼で全員に伝えます。

僕の会社の現場では、月に1回、月次パトロールの直後に安全衛生協議会を開いています。この記事では、協議会そのものに絞って「何のための会か」「誰が出るか」「議題の順番」「準備する資料」「決めたことの伝え方と記録」を、僕の会社の安全衛生協議会の資料と法令の原文で整理します。

安全衛生協議会とは、元請が開く「協議組織」の会議

安全衛生協議会は、同じ現場で働く元請と協力会社が、労災を防ぐための段取りを話し合って合わせる会議です。法律の言葉では「協議組織」と呼びます。現場によって「災害防止協議会」「災防協」「安衛協」と呼び名は違いますが、中身は同じものです。

根拠は労働安全衛生法30条1項です。建設業の元請(法律では特定元方事業者)は、元請と協力会社の作業する人が同じ場所で作業することで起きる労災を防ぐために、協議組織の設置及び運営を行うことになっています(安衛法 第30条第1項第1号)。同じ項には、作業間の連絡調整、作業場所の巡視、協力会社が行う安全衛生教育への指導・援助も並んでいます。

つまり協議会は、元請が「場所を貸しているだけ」ではなく、現場全体の安全を取りまとめる立場だからこそ開く会です。協力会社さんに来てもらう会ではなく、元請が開いて、協力会社さんと決めごとをそろえる会だと考えると、準備の重さが分かります。

「毎月1回」はどこに書いてある?法令・指針・現場ルールの3層

「毎月1回以上」は法令ではなく、厚労省の「元方事業者による建設現場安全管理指針」に書かれています。安衛則635条は、全ての協力会社が参加する協議組織を作ることと、その会議を「定期的に開催すること」までを決めています(安衛則 第635条第1項)。条文には回数の数字はありません。

ネットの解説では「毎月1回以上は安衛則635条の義務」とよく紹介されますが、原文を開くと「定期的に」です。とはいえ、オリンピックも4年に1回「定期的に」開かれているので、条文だけでは目安になりません。そこで指針が「協議組織の会議を毎月1回以上開催すること」と具体的な回数を示しています(指針 第2の6(1))。

曜日・時刻・会議の長さ・議題の順番は、法令にも指針にも書かれていません。ここは現場ごとに決める「運用」です。僕の現場では、毎月第4木曜の9:30から月次パトロールをして、10:00から安全衛生協議会と月間工程会議を続けて開いています。

安全衛生協議会の決まりは3層になっている 法令 守らないと違反 安衛法30条1項1号:元請が協議組織を設置・運営する 安衛則635条:全ての協力会社が参加/会議は「定期的に」開催 安衛法120条:30条1項の違反は50万円以下の罰金 指針 厚労省の目安 元方事業者による建設現場安全管理指針(平成7年) 会議は毎月1回以上/構成員4区分/議題6項目 規約を作る/議事録を協力会社に配布/朝礼等で全員に周知 現場ルール 現場ごとに決める 曜日・時刻(例:第4木曜 9:30 パトロール → 10:00 会議) 議題の順番・会議の長さ(例:35〜75分) 名簿の署名・議事録の様式と保存
図1 法令・指針・現場ルールの3層。「毎月1回以上」は真ん中の指針の層

この3層を分けておくと、所長や協力会社さんから「なぜこの日にやるの?」と聞かれたときに、「法令の義務」「指針の目安」「この現場の決め」のどれなのかを言い分けられます。取り違えやすいので一つ足すと、月次パトロールとは別に、毎日の巡視も元請の義務です。法令の巡視は「毎作業日に少なくとも一回」で(安衛則 第637条第1項)、協議会の前の月次パトロールで代わりにはなりません。

誰が出る?指針の構成員と現場の顔ぶれ

安全衛生協議会に出るのは、元請と、その現場に入っている全ての協力会社です。安衛則635条は「特定元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織」と書いていて(関係請負人=協力会社)、協力会社の側にも参加する義務があります(安衛則 第635条第2項)。指針は、構成員を次の4つの区分で示しています。

指針の構成員現場でいうと
統括安全衛生責任者、元方安全衛生責任者又はこれらに準ずる者等元請の所長・担当の監督
元方事業者の店社の店社安全衛生責任者又は工事施工・安全管理の責任者元請の店社(本社・支店)の安全担当など
関係請負人の安全衛生責任者等協力会社の職長・安全衛生責任者
関係請負人の店社の工事施工・安全管理の責任者等協力会社の会社側の担当者
表1 指針(第2の6(2))の構成員と、現場での顔ぶれ

「全ての協力会社」と言われても、新しく入る業者を漏らすと話になりません。誰を呼ぶかは、施工体系図や再下請負通知書で今月入る会社を確かめてから決めると漏れが減ります。施工体系図の扱いは施工体制の全国一斉点検の記事にまとめています。

議題の順番:パトロール結果から始めて要望・連絡で締める

議題は「さっき見たもの」から「来月やること」へ流すと、話がつながります。議題の順番がいちばんはっきり資料に残っているのは僕の会社の別の改修現場の協議会で、毎回この順番、会議は35〜75分でした。

  1. パトロール結果:直前の合同パトロールで、良かった点と是正点を分けて共有する
  2. 翌月の月間安全衛生管理計画:工種ごとの予測される災害と対策、会議の日程
  3. 安全トピックス:季節のものや、他の現場の事例
  4. 安全教育:その回のテーマを資料で話す
  5. 要望・連絡:協力会社さんからの要望と、元請からの連絡
安全衛生協議会 1回の流れ(月1回) 9:30 10:00 会議 35〜75分 会議後 朝礼8:00 合同 パトロール 元請+1次協力会社 ①パトロール結果 ②翌月の月間計画 ③安全トピックス ④安全教育 ⑤要望・連絡 議事録 配布・ 掲示 職長から 自社へ/ 朝礼で全員 出席者は名簿に直筆で署名 流れの考え方 ①は「さっき見たもの」、②は「来月やること」、③④は「よそで起きたこと・知っておくこと」、⑤は「お互いの頼みごと」。 決めたことは、議事録(配布・掲示)、職長から自社の作業員へ、朝礼で全員へ、の3本の道で届けて終わり。 時刻・順番・長さは僕の会社の協議会資料の例。会議後の伝え方は指針(5)(6)を当てはめた例。
図2 協議会1回の流れ。9:30 合同パトロール → 10:00 会議 → 議事録・職長・朝礼で伝える

指針は、協議会で取り上げる議題として、安全衛生管理の基本方針や計画、月間・週間の工程計画、危険や健康障害を防ぐ基本対策、安全衛生の規程、安全衛生教育の実施計画、労働災害の原因と再発防止対策の6つを挙げています(指針 第2の6(3))。上の5つの順番は、これを毎月の会議で回しやすい形に並べたものだと考えると分かりやすいです。

パトロール結果を最初に置くのは、全員がさっき同じ場所を見ているからです。たとえば「搬入口前の通路は搬入口の有効幅以上を確保する」「床を這う配線は通路の端に寄せる」と指摘された月は、翌月の計画で資材置場を区画し、突起をピンクテープで表示する対策を入れていました。①で出た是正が、そのまま②の対策になる流れです。

若手監督が準備する資料

準備するものは、議題ごとに1つずつと、名簿と議事録の様式です。協議会の当日に慌てないよう、前日までに表2のものをそろえておきます。

議題準備するもの中身の例(僕の会社の協議会資料から)
① パトロール結果指摘の写真と是正の一覧良かった点と是正点を分ける。通路幅・配線・長尺物の仮置きなど
② 翌月の月間計画月間安全衛生管理計画表工種ごとの「予測される災害」と「その対策」、ワイヤーロープの点検色(例:1月緑・2月黄・3月赤・4月白。この計画表での例)、朝礼・KY・工程会議の日程
③ 安全トピックス事例の資料屋内で発電機を使った一酸化炭素中毒、隣のクレーンの旋回範囲での挟まれ(建設業労働災害防止協会=建災防の事例集)、会社の別の現場の足場階段からの墜落
④ 安全教育教育資料(スライドなど)労災かくし、KYの書き方、熱中症、作業変更のときのルール
⑤ 要望・連絡連絡事項のメモ協力会社さんからの要望と、元請からの連絡
全体出席者名簿・議事録の様式名簿は直筆で署名してもらう
表2 議題ごとに若手監督が準備するもの

③のトピックスは、他の現場の事故を「協議会で共有した事例」として出します。僕の会社の別の現場で足場階段から約6m墜落した事例が水平展開(ほかの現場にも知らせて対策をそろえること)されたときは、アルミ製とスチール製の階段を混ぜると手すりと踏板の距離が開きやすいことが分かり、足場資材は原則同じメーカー・同じ材質でそろえ、規格品でも実際に測って確かめるルールになりました。よその事故を「自分の現場ならどこに当てはまるか」に置きかえて話すのが、トピックスの役目です。

④の教育は、回ごとにテーマを決めます。KYの書き方を取り上げた回の中身はKYシートの書き方に、労災かくしの回の中身は労災隠しの罰則の記事に、玉掛けをトピックスで扱った回の中身は玉掛けの333運動に書いています。議題の紙を作る係は面倒に見えますが、現場でいちばん議題に詳しくなれる係でもあります。

安全に関わるところ

教育資料に書く数値や手順(WBGTの基準、立入禁止の範囲、ユニックの定格荷重など)は、法令・メーカーの資料・会社の安全担当の確認をとってから配ってください。協議会の資料は全ての協力会社に配られるので、間違いもそのまま全員に広がります。

決めたことの伝え方と議事録

協議会で決めたことは、議事録で協力会社に配り、朝礼で現場の全員に伝えるところまでが仕事です。指針は、重要な議事の記録を作って関係請負人に配ること、重要な結果は「朝礼等を通じてすべての現場労働者に周知すること」を求めています(指針 第2の6(5)(6))。指針は、構成員・協議事項・開催頻度などを定めた協議組織の規約を作ることも挙げています。規約が現場にあるかどうかは、所長に確かめておきましょう。

議事録に残す項目

議事録は、指針(5)のとおり重要な議事を残して協力会社に配るためのものです。僕の会社の協議会の開催記録と添付の資料に残っている中身から、項目を拾うと次のようになります。

  • 開催日時と、直前の合同パトロールの時刻
  • 出席者(直筆で署名した名簿をそのまま添える)
  • パトロール結果(良かった点と是正点を分けて)
  • 翌月の月間安全衛生管理計画(予測される災害と対策)
  • 安全トピックスと安全教育で使った資料
  • 要望・連絡

様式は会社で決まっていることが多いので、前回の議事録をまず開いて、同じ形で書くのがいちばん早いです。

ここに、基準と現場のズレがあります。指針の言う周知の相手は「すべての現場労働者」ですが、指針が挙げる協議会の構成員は各社の安全衛生責任者や店社の担当者で、作業員全員ではありません。実際に作業する人に毎日届く場は、8時からの朝礼です。ただ、朝はバタバタしていて、新規入場者教育でさえ項目を一つひとつ見きれていないのが僕の現場の実情なので、会議で決めたことを全部読み上げても伝わりません。

だから、伝え方を中身で分けるのが現実的です。協議会で決まったルールの変更・禁止事項・是正は、その日の作業に関係があってもなくても、朝礼で全員に伝えます。日程や連絡などそれ以外のことは、議事録を配って詰所や朝礼看板に貼り出し、出席した職長から自分の会社の作業員へ持ち帰って伝えてもらいます。

現場で実際にあったこと

安全ブロックを付けずに昇降している人を見つけた翌日、朝礼で「前日、安全ブロックを付けずに昇降している人がいた。落下は重大災害になる可能性が高いので必ず付けてください」と全員に伝えました。

付け忘れを見つけたら、まずその場で止めて付けてもらい、その会社の職長に伝えるのが先です。朝礼で全員に話すのは、その次の段階です。このときのように、危ないことは「なぜ危ないか」と一緒に朝礼で全員に言うと、協議会に出ていない作業員にも届きます。協議会で決めたことを朝礼で伝えるときも、決めごとだけでなく理由を一言添えると伝わり方が変わります。

議事録の保存年数は、安衛法30条・安衛則635条・指針のどこにも書かれていません。ネットの解説には「3年」「5年」と書かれていることがありますが、根拠の条文は確かめられませんでした。保存年数は、会社の安全担当に社内ルールを確かめて決めてください。

次の協議会までにやること

まず所長に、前回の協議会の資料・議事録と会社の様式、規約があるかを確かめます。次に施工体系図や再下請負通知書で、来月入る協力会社を確かめて呼ぶ相手を決めます。前日までに表2の①〜⑤と名簿をそろえ、配る前に所長に一度見てもらいます。終わったら議事録を協力会社に配って貼り出し、ルールの変更・禁止事項・是正は朝礼で理由と一緒に全員へ伝えます。

よくある質問

小さな現場でも安全衛生協議会は必要ですか?

安衛法30条1項の条文には、協議組織について人数の条件は書かれていません。人数の条件があるのは統括安全衛生責任者の選任のほうです(安衛法 第15条第1項ただし書)。協力会社が入って同じ場所で作業する現場なら、規模にかかわらず必要と考えて、所長と会社の安全担当に開き方を相談してください。

安全衛生協議会を開かないと罰則はありますか?

あります。安衛法30条1項に違反すると、50万円以下の罰金の対象になります(安衛法 第120条第1号)。

災害防止協議会(災防協)と安全衛生協議会は違うものですか?

同じ協議組織の呼び名の違いです。指針も「労働災害防止協議会等の協議組織」と書いていて、名前より、元請が開いて全ての協力会社が参加しているか、定期的に開いているかが大事です。

安全衛生協議会はオンライン(WEB会議)で開いてもいいですか?

安衛則635条と指針には、「定期的に開催」「毎月1回以上」とはありますが、対面かオンラインかといった開き方の定めは見当たりません。開き方は、協議組織の規約(指針 第2の6(4))と、所長・会社の安全担当と相談して決めてください。パトロール結果の共有は、同じ場所を見た直後のほうが伝わりやすい点も考えに入れておくとよいです。

協力会社が協議会を欠席したらどうしますか?

協力会社には協議組織に参加する義務があります(安衛則 第635条第2項)。欠席した会社にも議事録を配り(指針 第2の6(5))、重要な結果はその会社の作業員にも朝礼などで伝わるようにします(同(6))。次回からどう出てもらうかは、所長と相談して決めてください。

議事録は何年保存すればいいですか?

安衛法30条・安衛則635条・指針には保存年数は書かれていません。会社の安全担当に社内ルールを確かめてください。

協議会の日に安全パトロールもするのはなぜですか?

全員が同じ場所を見た直後だと、パトロール結果の話がそのまま伝わるからです。パトロールで何を見るかは安全パトロールで言われること【足場編】にまとめています。

参考にした基準・資料

  1. 労働安全衛生法(e-Gov 法令検索)第15条第1項・第30条第1項・第120条第1号(閲覧日 2026-10-29)
  2. 労働安全衛生規則(e-Gov 法令検索)第635条・第637条(閲覧日 2026-10-29)
  3. 厚生労働省「元方事業者による建設現場安全管理指針」第2の6 協議組織の設置・運営(1)〜(6)(閲覧日 2026-10-29)
  4. 厚生労働省「安全衛生経費確保のためのガイドブック」別冊指針(平成7年4月21日 基発第267号の2)の抜粋(閲覧日 2026-10-29)
  5. 僕の会社の現場の安全衛生協議会資料開催記録・月間安全衛生管理計画表・教育資料

この記事の確認日:2026-10-29

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