01 仮設工事|トラブル対処
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棚足場、組み上がりました。これで明日から天井下地に入れますね。
組んだ俺が言うのも何だが、作業床に立って天井までの高さは見たか?
……見てません。足場は組めたら終わりだと思ってました。
僕も棚足場で、組んだ後の高さで失敗したことがある。何を見て、どう直すかを話すよ。
この記事で分かること
- 棚足場を組んだ後の高さが合わないときに、最初にやること
- 縦地が天井まで伸びていると、解体のときに何が起きるか
- 是正案の比べ方と、足場屋さん・監理者への話し方
組み上がった足場で、手が届かない
よくあるケースとして、こんな場面を思い浮かべてください。天井下地の墨が出て、棚足場も組み上がった。ところが作業床に立ってみると、頭がつかえて腕が上がらない。あるいは逆に、背伸びしても天井下地に手が届かない。
棚足場で僕がやらかした失敗は、この「組んだ後の高さ」でした。僕は下地の段階で、作業床(アンチ)から天井までを1,700mmくらいにして組んでしまいました。ところが天井は下地の下に仕上げ材が付くので、仕上がったときの高さは1,500mmくらいまで下がります。狙いより200mm低いと、仕上げの作業は苦しい姿勢のまま進むことになり、品質にも安全にも響きます。
まず止める:高さを測って、写真を残す
高さが合わないと気づいたら、天井下地の作業には入らず、いったん手を止めます。足場の上で「たぶん大丈夫」と進めてしまうのが、いちばん高くつきます。
止めたら、作業床から天井下地(仕上げ面)までの高さを実測し、巻尺を入れた状態で写真を撮ります。縦地の位置と、縦地の頭がどこまで伸びているかも一緒に撮っておきます。足場の組み直しは足場屋さんの手間と工程に直結するので、この記録が後の話し合いの土台になります。
ちなみに僕の目標は、作業床(アンチ)から天井の仕上げ面までを1,700mmくらいにすることです。測るのは下地ではなく、仕上げ面までです。
僕の現場では、天井にスパンドレルを貼る予定でした。一応、職人さんを連れて現地を見てもらったところ、やっぱりこの高さでは作業が厳しい、という結論でした。そこで所長に報告して、足場を組み直してもらいました。
原因は「下地の段階」で確認したかどうか
棚足場の高さは、天井の仕上げ高さと、天井裏の設備の高さが固まってから決める順番です。ところが現場では、足場の手配が先に動いて、高さの確認が後回しになりがちです。
僕の反省は、はっきりしています。下地の段階で、仕上げ後の高さをちゃんと確認するべきでした。下地の高さだけを見て1,700mmに合わせたので、仕上がりの高さを読み違えました。墨が出た時点で、下地の高さから仕上げ材の厚み分を引いて、仕上げ後の高さを一度計算する。それだけで防げた失敗です。基準の取り違えがズレを生む話はレベル測定のミスを防ぐにも書いたので、測る前の基準合わせとして読み返してください。
縦地が天井まで伸びると、解体で足場を切ることになる
もう1つの落とし穴が縦地です。天井を組むとき、縦地が天井面まで伸びていると、ボードを張った後に足場を外せなくなります。僕のメモには「解体時、足場を切るようになる」と書いてあります。
天井を張ってしまえば、縦地は天井を貫いた状態で残ります。足場の部材を切って外す羽目になるか、天井側を開けて抜くかのどちらかです。どちらも手戻りで、天井の仕上げが済んだ後ならなおさら避けたい作業です。縦地の頭を天井面より下で止めておく、という段取りは、組む前でないと決められません。
是正案を比べる:組み直すか、このまま使うか
高さが合わない、または縦地が天井を貫く。そう分かったときの選択肢は、大きく3つに分かれます。どれを選ぶかは、天井の工程と、足場を組み直す手間を並べて決めます。
目安は、下地と仕上げの差です。差が200mmくらいなら、足場は組み直さず、1回の高さで両方の作業を進められます。差が400mm以上になるなら、最初から組み直す計画にしたほうがいい、というのが今の僕の考えです。
| 案 | やること | 向く場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| A 作業床を組み直す | 作業床の高さを変えて、天井との関係を合わせ直す | 下地と仕上げの差が400mm以上ある/高さのズレが作業姿勢に響く | 足場屋さんの手間と日数が出る。早く決めるほど安く済む |
| B 縦地の頭を揃える | 天井面を貫く縦地を、天井仕上げ前に短い部材へ替える | 高さは合っているが、縦地だけが突き抜けている | 組み替えは足場の施工会社の指示で行う。勝手に部材を切らない |
| C このまま使い、外し方を決める | 天井の仕上げ前に、縦地を抜く順序と手順を先に決める | 工程に余裕がなく、組み直しの時間が取れない | 天井側の手戻りが残る。決めた手順を全員に共有する |
足場の組み替えや部材の切断は、足場の施工会社と安全管理者の指示に従います。天井下地や躯体との取り合いに関わるときは、監理者に報告して、必ず構造設計者・監理者の指示を仰いでください。現場監督の判断で済ませる話ではありません。
足場屋さんへの話し方
報告は、現状、実測値と基準、原因、対応済みのこと、是正案の順に整理すると伝わります。現状は写真で、実測値はスケールを入れた高さで見せます。基準は「天井の設計高さ」と「作業床に求められる高さ」です。
足場屋さんには、責める口調で入らないのがコツです。「この高さで組み直すと、何日かかりますか」「縦地の長さは替えられますか」と、先に工程の話から聞きます。費用の分担は、原因がどこにあるかを整理してから別の場で詰めます。ここを急ぐと、現場の空気が悪くなります。
高さを決める時期と、その高さで仕上げる時期は離れています。早い段階で決めたことが、使う時期になって食い違うのは棚足場に限りません。色を早く決めたことで起きた話を完成後に「色がイメージと違う」と言われたらに書いたので、決めた時期と中身を記録に残す大切さの例として読んでください。
組み直すときに外せない基準
高さを変えて組み直すときも、足場そのものの基準は外せません。労働安全衛生規則(第二編 第十章 第二節 足場)で、現場監督が押さえておく条文は次の4つです。
| 条 | 内容 | 組み直しでの見方 |
|---|---|---|
| 第563条第1項 | 高さ2m以上の作業場所の作業床は、幅40cm以上、床材間の隙間3cm以下、床材と建地の隙間12cm未満。墜落防止設備も設ける(わく組足場は交さ筋かい+桟か幅木、または手すりわく。それ以外は手すり等+中桟等) | 高さを変えた後も、床の幅・隙間・手すりが残っているかを見る |
| 第562条 | 足場の構造と材料に応じて作業床の最大積載荷重を定め、超えて積載しない。労働者に周知する | 組み直したら積載荷重の表示も付け直す |
| 第571条第1項第四号 | 単管足場の建地間の積載荷重は400kgが限度 | 単管足場で組むときの上限として見る |
| 第564条・第567条第2項 | 高さ2m以上の足場の組立て・解体・変更は、時期・範囲・順序を周知し、関係者以外の立入りを禁止する(第564条)。組立て・一部解体・変更の後は、作業前に点検者が点検する(第567条第2項) | 高さの変更は「変更」にあたる。点検を済ませてから使う |
高さを変えるたびに、確認が一から要る。そういう意味の条文です。
次の棚足場で、下地の段階にやること
再発防止は、手順を1つ足すだけです。墨が出た段階で、天井仕上げ面の高さ、天井裏の設備の高さ、作業床の高さ、縦地の頭の位置を、図面と実物で順に重ねます。足場屋さんには、その結果を渡してから組んでもらいます。足場の面積や数量の考え方は足場の数量の拾い方にまとめています。
棚足場の失敗は、組み上がってからでは遅く、墨が出た日なら間に合います。仕上げ後の高さと縦地の頭。この2つを下地の段階で見るだけで、解体の日に足場を切らずに済みます。
参考にした基準・資料
- 厚生労働省 安全衛生情報センター「労働安全衛生規則 第二編 第十章 通路、足場等」第562条(最大積載荷重)、第563条第1項(作業床)、第564条(組立て等の作業)、第567条第2項(点検)、第571条第1項第四号(単管足場の積載荷重)
基準の数値は改正されることがあります。実際の工事では、最新の条文と、足場の施工会社の仕様、特記仕様書を確認してください。
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