ベースモルタルの施工方法|まんじゅうの高さは建方2日前にレベルで確認

鉄骨工事:ベースモルタル(まんじゅう)の高さは建方2日前にレベルで確認 11 鉄骨工事

ベースモルタルの施工方法を一言でいうと、柱のベースプレートを受ける「まんじゅう」を決めた高さどおりに据えて、建方の前にもう一度レベルで確かめることです。据えるのは左官さんでも、高さの基準を決めて確かめるのは現場監督の仕事です。この記事では、高さの決め方、受け金物の注意、建方2日前までの確認、ずれたときの報告までを順番に書きます。

11 鉄骨工事|施工中

  1. 段取り:鉄骨建て方の手順と段取り
  2. 施工中:この記事
  3. トラブル対処:アンカーボルトの位置ズレ・埋込み不足はどう直す?

建方の3日前の夕方、基礎の上で。

ルー

まんじゅうって、左官さんに任せておけばいいんですよね?

Kony

据えるのは左官さんだけど、高さを決めるのは僕らだよ。まんじゅうの天端が、そのまま柱の高さになるからね。

ルー

ずれていたら、建方の日に直せばいいですか?

Kony

まんじゅうの高さのミスは、大きな手直しになることが多いんだ。だから建方の2日前までに全部測っておく。

ミサキさん

測った高さは柱ごとに記録しておいてね。ずれていたら、その記録を持って報告するのよ。

Kony

今日は、まんじゅうとは何か、高さの決め方、建方前の確認と報告の順番で話すね。

この記事で分かること

  • ベースモルタル(まんじゅう)の役割と、標仕で決まっていること・特記で決まること
  • アンカーフレームのプレートを基準にした高さの決め方と、受け金物の注意
  • 建方2日前までのレベル確認と、ずれていたときの報告のしかた

ベースモルタル(まんじゅう)とは|柱の高さを決める台

ベースモルタルは、鉄骨柱のベースプレートの下に据えるモルタルで、現場では形から「まんじゅう」と呼ぶことが多いです。公共建築工事標準仕様書(以下、標仕)令和7年版では「柱底均しモルタル」という名前で、7.10.3(5) に工法が書かれています。標仕の A種は、柱を建てる前にベースプレートの中央下部へ硬練りのモルタル等を所定の高さに塗り付け、柱を建てた後にベースプレートの回りへ型枠を設けて、無収縮モルタルを周囲からあふれ出るまで圧入する方法です。特記がなければ A種になります(表7.10.2)。

つまり、まんじゅうは柱の高さを決める台です。まんじゅうの天端がそのままベースプレートの下端になり、柱の高さになるので、ここがずれると上に載る鉄骨もずれます。同じ表7.10.2 には、ベースプレート下の全面にモルタルを詰め込む B種や、ベースプレートが300mm角程度以下のときにモルタルを所定の高さに平滑に仕上げて柱を建て込む方法も載っています。

基礎(基礎梁)のコンクリート 鉄骨柱 ここを測る プレート上端→ ベースプレート下端 ベースプレート まんじゅう アンカーフレーム 上部のプレート アンカーボルト 点線:建方後に無収縮 モルタルを後詰め(A種) 柱心
図1柱脚まわりの断面と、高さを測る位置(模式図・寸法は例。厚さは特記による:標仕 令和7年版 7.10.3(5))

ベースモルタルの厚みと材料は「特記」で決まる

ベースモルタルの厚みは、標仕では「特記による」とされていて、数値は決まっていません(7.10.3(5)(ア))。なので厚みは、構造図や特記仕様書で確かめます。下地のコンクリートは、レイタンス等を取り除いて目荒しをしておくことも、同じ箇所に書かれています。

材料は 7.2.9 にあり、普通のモルタルなら調合は容積比でセメント1:砂2です。無収縮モルタルにする場合は特記により、特記がなければ品質と試験方法を表7.2.5 で確かめます。養生期間の日数は、標仕の 7.2.9 と 7.10.3 には書かれていませんでした。何日置いてから柱を建てるかは、使う無収縮モルタルの製造所の仕様と特記を見て、監理者と決めてください。

項目標仕 令和7年版の規定箇所
厚さ特記による7.10.3(5)(ア)
下地レイタンス等を取り除き、目荒しを行う7.10.3(5)(イ)
工法表7.10.2 により種別は特記。特記がなければ A種7.10.3(5)(ウ)
モルタルの調合容積比でセメント1:砂27.2.9(1)
無収縮モルタルの品質ブリーディング率 2.0%以下(練混ぜ2時間後)/材齢7日で収縮しない/圧縮強度 材齢3日 25N/mm²以上・材齢28日 45N/mm²以上7.2.9(2)・表7.2.5
建方の精度JASS 6 付則6[鉄骨精度検査基準]付表5[工事現場]による7.10.2
表1 ベースモルタル(柱底均しモルタル)まわりで標仕が決めていること

構造に関わるところ

柱脚のモルタルの厚み・材料・高さは、柱の力を基礎へ伝える部分で、構造の性能に関わります。特記が読み取れないときや、図面と現場が合わないときは、現場監督の判断で済ませず、監理者に報告して、必ず構造設計者・監理者の指示を仰いでください。

まんじゅうはいつ・誰が据える?|基礎梁の打設後に左官さん

僕の現場では、基礎梁のコンクリートの打設が終わった後に、左官さんが無収縮モルタルでまんじゅうを据えていました。本柱や太い柱では、この据え方を使っています。左官さんは決められた高さに据えてくれますが、その「決められた高さ」を出すのは僕らです。

だから「左官さんに任せておけばいい」ではありません。高さの基準を決めて伝え、据わった後に自分で測るところまでが、監督の仕事だと僕は考えています。

据えるのはこっちの仕事。高さの基準は監督さんが決めてくれよ。テツさん(職長)

まんじゅうの高さの決め方|アンカーフレームのプレートを基準に測る

僕が最初にやるのは、アンカーボルトをセットした後に、アンカーフレーム上部のプレートの高さを測ることです。このプレートはアンカーフレームと一緒に固定されていて動かないので、その後の高さの基準にできます。標仕でも、構造用アンカーボルトは特記がなければ鋼製アンカーフレーム等で固定する方法とされています(7.10.3(2)(イ))。

高さは「プレートの上端から、ベースプレート下端までが何mmか」で考えます。ベースプレート下端の高さは図面で決まっているので、プレートの実測値との差が、まんじゅうで受け持つ高さになります。この差を柱ごとに出しておくと、左官さんに伝えるときにも、受け金物を合わせるときにも、そのまま使えます。

  1. アンカーボルトをセット
  2. フレーム上部のプレートの高さを測る
  3. 基礎梁の打設
  4. 受け金物を仕込む
  5. まんじゅうを据える
  6. 建方2日前までにレベルで確認
  7. 建方
図2僕の現場でのまんじゅうまわりの順番の例。受け金物を使わないときは4番目がありません(順番は現場ごとに監理者・鉄骨業者と確認)

受け金物を仕込むやり方と注意|真ん中の高さに揃える

高さを調整できる鉄製の受け金物を、基礎梁の打設のときに柱の位置へ仕込む方法もあります(僕は「鉄団子」と呼んでいます)。僕の現場では、打設したコンクリートが少し硬くなり始めたタイミングで仕込み、プレートからの高さを測ってベースプレート下端の高さに合わせていました。この順番は現場によって違うので、僕のやり方の一例として読んでください。

受け金物は、調整できる幅が決まっています。だから仕込むときは、全部を調整幅の真ん中の高さに揃えておきます。こうしておけば、後で高すぎても低すぎても、上下どちらにも調整が効きます。

受け金物には、柱の重さに対応したものが何種類かあるので、柱に合うものを選びます。対応する重さはメーカーの資料で確かめ、柱脚に関わることなので監理者にも確認してから決めてください。

置く位置にも注意があります。受け金物を柱の真ん中に置くと、柱心の墨が隠れてしまうので、少しずらしてセットすることがあります。ただしずらしすぎると、建方のときに鉄骨が建てられなくなることがあります。墨が出しにくくても、真ん中にセットするのも一つのやり方です。

真ん中に置く 柱心の墨が隠れる 少しだけずらす 墨が見える ずらしすぎ 建方で建てられなかったことがある □ ベースプレートの位置 ○ 受け金物 一点鎖線 柱心の墨
図3受け金物を置く位置(平面の模式図・位置は例)。ずらすなら少しだけ

Konyの現場メモ

受け金物を柱心の墨が見えるようにずらしてセットしたら、ずらしすぎて、建方のときに鉄骨が建てられなかったことが実際にありました。ずらすなら少しだけ。墨が出しにくくても、真ん中にセットするのもありだと思っています。

建方の2日前までに、全柱のまんじゅうの高さをレベルで確かめる

僕の現場では、建方の2日前までに、オートレベルで全部の柱のまんじゅうの高さを確かめていました。まんじゅうの高さのミスは、大きな手直しになることが多いからです。2日前までに測っておけば、ずれていても建方の前に報告して手を打つ時間が残ります。

測るときは、柱ごとに「図面の高さ」「測った高さ」「差」を記録します。この記録が、ずれていたときの報告の材料になります。オートレベルの据え方は「オートレベルとトータルステーションの据え方」に書きました。

まんじゅうの高さがずれていたら|調整しきれないときは正直に報告

高すぎ・低すぎで、受け金物やまんじゅうで調整しきれないときは、正直に報告します。僕の感覚では、5mm ずれていたら許容できない、2〜3mm ならぎりぎり、というところです。ただしこれは僕の感覚で、基準の数値ではありません。

標仕では、建方等の工事現場施工の精度は JASS 6 付則6[鉄骨精度検査基準]付表5[工事現場]によるとされています(7.10.2)。許容差の数値は、JASS 6 の原文と特記で確かめてください。どこまでなら直して進めるかは、監督が一人で決めず、監理者に報告して判断を仰ぎます。

受け金物の調整幅の中で、図面の高さに合わせる現場で直す
合わせた後の高さを測り直し、柱ごとに記録して伝える直して報告
調整しきれない高さのずれ、特記と合わない厚み指示を仰ぐ
失敗起きること防ぎ方
高さの基準を決めないまま据える柱ごとに高さがばらつくアンカーフレーム上部のプレートの高さを最初に測り、基準にする
受け金物を調整幅の端で仕込む片側にしか調整が効かない全部を調整幅の真ん中の高さに揃えておく
柱の重さに合わない受け金物を選ぶ柱を受ける金物として合わない柱の重さに対応した種類を選び、監理者に確認する
受け金物をずらしすぎる建方で鉄骨が建てられないずらすなら少しだけ。真ん中にセットしてもよい
建方の直前まで高さを測らない大きな手直しになりやすい建方の2日前までにオートレベルで全柱を測り、記録する
ずれを報告しないまま進める柱の高さ・建方の精度に響く調整しきれなければ、記録を持って正直に報告する
表2 まんじゅうの失敗と防ぎ方(僕の現場での例)

まんじゅうは小さいけれど、柱の高さを決める台です。据えるのを左官さんにお願いしても、高さの基準を決めて、建方の2日前までに全柱を測って記録するところまでは、自分でやってください。ずれていたら、その記録を持ってすぐに報告しましょう。

参考にした基準・資料

  1. 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版7章2節:7.2.9[柱底均しモルタル]・表7.2.5(無収縮モルタルの品質及び試験方法)
  2. 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版7章10節:7.10.2[建方精度]、7.10.3[アンカーボルトの設置等](2)・(5)・表7.10.2(柱底均しモルタルの工法)

基準の数値は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準を確認してください。

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