安全ブロックの種類は2つ|どこにつける・長さ・使用期限まで

鉄骨工事:安全ブロックの種類は2つ|どこにつける・長さ・使用期限まで 11 鉄骨工事

11 鉄骨工事|施工中

  1. 段取り:鉄骨建て方の手順と段取り
  2. 施工中:この記事
  3. トラブル対処:アンカーボルトの位置ズレ・埋込み不足はどう直す?

鉄骨建方の初日、柱の上に付いた安全ブロックを見上げながら。

ルー

Konyさん、柱のてっぺんの丸い箱って安全ブロックですよね。種類とかあるんですか?

Kony

あるよ。はしごで落ちたとき、車のシートベルトみたいにロックして止めてくれる道具なんだ。

ルー

じゃあ、あれを付けておけば絶対大丈夫なんですね。

Kony

そこが大事なところで、付ける高さを間違えたり、登り始めの低い所だったりすると、止まる前に下に当たることもあるんだ。

テツさん

梁を付けに柱を登るときは、毎回まずブロックからだな。

Kony

今日は、仕組み → 種類 → 長さ → どこにつけるか → 使い方 → 使用期限の順番で話すね。

結論

  • 種類はワイヤ式とストラップ(帯ロープ)式の2つ。長さは、藤井電工のストラップ式(ベルブロック)が3.5〜15.0m、ワイヤ式(テトラブロック)が10〜30m。
  • つける位置は、昇る人より高い所の堅固な構造物。フックはフルハーネスの背中のD環に掛ける。
  • 使用期限は製品ごとに違う。藤井電工は購入から最長10年で、定期点検はベルブロック2年ごと・テトラブロック3年ごと。一度でも大きな荷重がかかったものは廃棄。

安全ブロックの種類・長さ・どこにつけるか・使用期限は、メーカーの取扱説明書にはっきり書いてあります。この記事では、その記載と、僕が鉄骨建方の現場で使ってきたやり方を分けて話します。

目次

安全ブロックとは:落ちたら巻き取りがロックして止める、昇降用の道具

安全ブロックは、本体の中にワイヤやストラップが巻き取られていて、ゆっくり引くと伸び、速く引き出されるとロックして落下を止める道具です。藤井電工の取扱説明書では、自社のベルブロックを「昇降時のリトラクタ式墜落防止器具です。」と書いています(リトラクタ式=巻き取り式のこと)。車のシートベルトのように止まる道具、と思っておくとつかみやすいです。

1年目がつまずきやすいのが、フルハーネス(墜落制止用器具)との関係です。厚生労働省のガイドラインは、墜落制止用器具は作業のときに義務付けられるもので、作業と昇降は「基本的に異なる概念であること。」としたうえで、「垂直親綱、安全ブロック又は垂直レールを用いて昇降を行う際には、墜落制止機能は求められないこと。」と書いています。

つまり安全ブロックは、まず「昇降のための道具」として位置付けられています。ただし、条件を満たす使い方では、フルハーネスの一部(ランヤード)として扱われる場合もあります。「安全ブロック=墜落制止用器具」とも「まったく別物」とも、ひと言では言い切れないので、この記事では断定しません(原文はよくある質問に載せています)。

手元の安全ブロックを、昇降だけに使うのか、作業中にも使うのかは、製品の取扱説明書と現場の作業計画で決まります。藤井電工のベルブロック・テトラブロックは「身体を保持する作業には使用できません。」と明記しています。使い方の区分は、所長・安全担当者と作業手順書で確認してください。

安全ブロックの種類:ワイヤ式とストラップ式

安全ブロックの種類は、引き出す線がワイヤロープか、帯状のストラップかで大きく2つに分かれます。藤井電工の取扱説明書では、ストラップ式(ベルブロック)が3.5〜15.0m、ワイヤ式(テトラブロック)が10〜30mです。そこにショックアブソーバ付きなどの違いが重なります。

呼び名はメーカーごとにばらばらで、ベルブロック、テトラブロック、セイフティブロック……。現場の資材置き場は、まるで積み木のブロック売り場です。カタログを見るときは名前でなく「ワイヤかストラップか」「長さ」で読むと迷いません。

種類線の材料長さの例出典
ストラップ式ストラップ(帯ロープ)3.5m/5.7m/8.0m/10.0m/15.0m藤井電工 ベルブロック 取扱説明書
ワイヤ式ステンレス ワイヤロープ φ5.0mm10m/12m/15m/20m/25m/30m藤井電工 テトラブロック 取扱説明書
ワイヤ式鋼線ワイヤ 直径4mm、またはステンレス 直径4.76mm長さは製品ごとに確認サンコー(タイタン)製品ページ

藤井電工のベルブロックの取扱説明書には、点検する部位として本体・ストラップ・フックのほかにショックアブソーバが並んでいて、ショックアブソーバ付きの型があることが分かります。どの型に付いているかは、手元の製品の銘板と取扱説明書で確かめてください。

安全ブロックの長さ:最大の移動距離より約1m長いものを選ぶ

長さの選び方は、藤井電工のテトラブロック取扱説明書に「使用現場の最大移動距離よりも約1m長いタイプをお選びください。」と書いてあります。柱のはしごなら、取り付けた所から登り始めの位置までの距離が、最大移動距離にあたると考えると分かりやすいです。

安全ブロックはどこにつける:昇る人より高い所の、堅固な構造物

安全ブロックをつける位置は、藤井電工が「作業員が昇降する位置よりも高い位置の堅固な構造物にカラビナや専用の台付ロープで取り付けてください。」、サンコー(タイタン)が「使用場所の真上か、その直近の強固な構造物に垂直に吊り下げて、確実に取り付けます。」と書いています(台付ロープ=本体を構造物に掛けるための短いロープ)。鉄骨建方では、僕は柱のはしごを登る前に、柱の上部の掛けられる所に付けています。

低く付けてはいけません。サンコーは「安全帯(ハーネス型/胴ベルト型)のD環より低い位置に取り付けない。」としています。藤井電工も、作業は取付点から30°の範囲で行い、範囲を超えて落ちると「振り子現象により、構造物に衝突するおそれがあります。」と書いています(振り子現象=取付点の真下からずれた所で落ちると、横に振られる動き)。

柱のはしご昇降と安全ブロックの取付位置 鉄骨柱の上部に安全ブロックを吊り下げ、ストラップを作業員のフルハーネス背部D環に掛ける模式図。取付点は昇る人より高い位置、作業は取付点から30度の範囲、ロックまでにストラップが最大700mm程度引き出され、登り始めは地面に当たることがある注記つき。 通り芯 鉄骨柱 地面(直下の床) 柱に固定したはしご ① 安全ブロック 昇る人より高い所の堅固な構造物に 30° ③ 作業は取付点から 30°の範囲[2] ロックまでの引出し 最大700mm程度[4] ② 背中のD環に掛ける フルハーネスの背部D環[2] ④ 登り始めは要注意: 止まる前に地面に当たることがある[4]
図1 柱のはしごを登るときの安全ブロックとフルハーネスの位置(模式図)。①昇る人より高い堅固な所に付ける、②背中のD環に掛ける、③取付点から30°の範囲で使う、④止まるまで最大700mm程度引き出される。700mmはストラップ(ワイヤ)が引き出される長さで、地面からの安全な高さではありません。

もうひとつ、図の④が見落としやすい所です。サンコーは、ロックがかかって止まるまでにワイヤロープが「最大で700㎜程度引き出されます。」とし、はしごの登り始めなど地面の近くで落ちると「停止するより先に地面等に衝突することがあります。」と書いています。安全ブロックを付けていても、登り始めの数段は止まりきらない前提で、はしごをしっかり握って登ってください。

安全ブロックを掛ける所が落下の衝撃に耐えるかどうかは、見た目では決められません。サンコーも、取り付ける対象には衝撃に耐える強度が要るとしています。柱上部のどこに掛けるかは所長・安全担当者と決め、部材の強度の判断が要るときは構造設計者・監理者に確認してください。

安全ブロックの使い方:鉄骨建方の柱はしごでの順番

安全ブロックの使い方は、「登る前に上に付ける → 背中のD環にフックを掛ける → ロックを確かめてから登る」の順番です。鉄骨建方で柱に梁を取り付けるとき、僕の現場では柱に固定したはしごで登ってボルトを締めます。その前に、柱の上部の掛けられる所に安全ブロックを付け、フルハーネスに安全ブロックのフックを掛けてから登ります。

安全ブロックを付けに上がる最初の1回が無防備にならないように、いつ・誰が・どうやって付けるかを作業手順書で決めておきます。フックが巻き取られて上に戻った後は、藤井電工のテトラブロックでは「引寄せロープ」でフックを地上から引き寄せる、と書かれています。

僕の現場では、安全ブロックは柱を建てる前に、地上で柱を寝かせた状態で上部に取り付けていました。こうしておけば、柱を建てたあとに安全ブロックを付けるためだけに上がらずに済みます。

登る前にロックを確かめる

藤井電工は、昇降前にストラップ(ワイヤ式ならワイヤロープ)を素早く引き出してロックすることを確かめるよう書いています。始業点検は「使用する作業者が作業前に毎回行ってください。」とされています。毎回なので、登る人それぞれが、昇降の前に自分で引き出してロックを確かめます。

1台を2人で使わない・体重と気温の範囲

サンコーは「1台の製品を同時に2名以上で使わないでください。」と書いています。使用できる質量にも範囲があり、藤井電工のベルブロックは120kg以下、サンコーは体重・着衣・装具の合計が30kgより軽いとロックがかからないことがあり、130kgより重い場合は原則使えないとしています。サンコーは気温がマイナス10℃より低いときも使えないとしています。条件は製品ごとに違うので、手元の製品の取扱説明書で確かめてください。

上でボルトを締める間は「作業」

はしごを登りきって、柱と梁のボルトを締める時間は、ガイドラインの言葉でいえば「昇降」ではなく「作業」です。藤井電工の安全ブロックは身体を保持する作業には使えないとされているので、ここで何に何を掛けるかは作業計画で決めておく必要があります。

梁の上を歩くときは親綱を使います(僕の現場では、梁の上で歩く所には親綱の支柱を基本的に全部立て、デッキを張るタイミングで外していました)。外した後の端部や開口部の墜落防止も、作業計画で決めておきます。柱の上でボルトを締めている間の掛け先は、下の写真のあとに書きます。

鉄骨建方の前に搬入した親綱支柱・水平ネット・はしごなどの安全設備
工事名
●●●工事
工種
鉄骨工事
内容
安全設備搬入(親綱支柱・水平ネット)

柱の上でボルトを締めている間は、梁にスタンション(親綱を張るための支柱)を立てて親綱を張り、そこにランヤードを掛けます。スタンションも、安全ブロックと同じように、梁を地上に寝かせているうちに取り付けておきます。

付けずに登る人がいたら

付けずに登るのは、絶対にやめた方がいいです。鉄骨工事は高い所で重い物を扱うので、落ちれば重大な事故になります。フルハーネスの取付けは、何回言っても言い過ぎることはないと思っています。

僕は、昇降のときに安全ブロックを付け忘れている人を見つけて「ちゃんと付けてください」と指摘したことがあります。翌日の朝礼では「前日、安全ブロックを付けずに昇降している人がいた。落下は重大災害になる可能性が高いので必ず付けてください」と全員に伝えました。

墜落制止用器具の掛け忘れでも同じで、掛けていない職長に「掛けてください」と叫ぶより、「分かってるんでしょうけど忘れてますよ、気づいて」という体で頼むと、角が立たずにやってもらえました。それを知らない頃と比べて、職人さんからの印象も変わりました。

念のため書いておくと、安全ブロックが実際に効いて人が止まった場面を、僕は見たことも聞いたこともありません。だから「効くから付ける」ではなく、「その一回を見ないで済むように付ける」と考えています。作業員さんには、フルハーネスをしっかり着用して使うように言っています。

建方前の打合せで安全設備(昇降設備・親綱と支柱)を決める段取りは、鉄骨建て方の段取りにまとめています。

安全ブロックの使用期限と点検:最長10年、定期点検は2年か3年ごと(藤井電工)

安全ブロックの使用期限は、メーカーが取扱説明書で示しています(この記事で確かめた範囲では、年数を定めた法令の条文は見つかりませんでした)。藤井電工は、ベルブロックもテトラブロックも「ご購入後から最長10年」とし、メーカーの定期点検をベルブロックは2年ごと、テトラブロックは3年ごとに受けるよう書いています。ベルブロックは、使用頻度が高い場合は1年ごとのメーカー点検を勧めています。

項目藤井電工 ベルブロック藤井電工 テトラブロックサンコー(タイタン)
耐用期間購入後から最長10年購入後から最長10年年数の記載なし。損傷・劣化があれば交換
メーカーの定期点検2年ごと(使用頻度が高ければ1年ごとを推奨)3年ごと定期分解点検の期限を過ぎた製品は使わない
始業点検作業前に毎回。昇降前に素早く引き出しロックを確認昇降前にワイヤロープを素早く引き出しロックを確認日常点検。ワイヤは素線が1本でも切れていれば取り替え
落下を止めた後一度でも大きな荷重が加わったものは全体を廃棄一度でも大きな荷重が加わったものは使わず廃棄墜落を阻止した製品はそのまま使わない

「最長10年」は、10年使えるという保証ではありません。藤井電工は、ストラップなどの合成繊維部品は使用頻度や使用環境が性能劣化に大きく影響するとし、耐用期間内でも点検の基準に当たるものは使わずに修理してから使うよう書いています。外見上の変形がなくても、一度でも大きな荷重が加わったものは内部に亀裂や変形が生じているおそれがある、とも書いています。

リースで入ってくる安全ブロックで、購入日や前回のメーカー点検日が手元で分からない場合は、搬入時に点検記録の有無をリース元・所長・安全担当者に確認し、分からないものは使わないのが安全側です。

ガイドラインも、墜落制止用器具について「一度でも落下時の衝撃がかかったものは使用しないこと。」としています。安全ブロックも、止めた後はそのまま使わない、で考えてください。

建方の前にやることをまとめると、現場の安全ブロックの型式と長さ、点検の記録を確かめること。取付位置と付けるタイミングは所長・安全担当者と決め、当日は、登る人それぞれに、昇降の前に毎回引き出してロックを確かめてもらってください。

よくある質問

安全ブロックの種類は?

ワイヤ式とストラップ式の2つです。藤井電工では、ストラップ式が3.5〜15.0m、ワイヤ式が10〜30mです。

安全ブロックは墜落制止用器具ですか?

厚労省のガイドラインは「垂直親綱、安全ブロック又は垂直レールを用いて昇降を行う際には、墜落制止機能は求められないこと。」としています。一方で、安全ブロック等に「子綱とスライド式墜落制止用の器具を介してフルハーネス型の胸部等に設けたコネクタと直結する場合であって、適切な落下試験等によって安全性を確認できるものは、当該子綱とスライド式墜落制止用の器具は、フルハーネス型のランヤードに該当すること。」とも書いており、ひと言では言い切れません。手元の製品が何に使えるかは取扱説明書で確かめてください。

法令で安全ブロックは決まっていますか?

高さ又は深さが1.5mを超える箇所で作業を行うときは昇降するための設備等を設けること(労働安全衛生規則 第526条)、高さ2m以上の箇所で要求性能墜落制止用器具等を使わせるときはそれを安全に取り付けるための設備等を設けること(同 第521条)が決まっています。安全ブロックを名指しした条文は、この記事で確かめた範囲では見つかりませんでした。

フルハーネスのどこに掛けますか?

藤井電工は、背部D環に取り付けた着脱式連結ベルトのO環か、背部D環に直接接続するよう書いています。サンコーは背中または胸の環としています。製品ごとに取扱説明書の指定に従ってください。

どこにつけますか?

昇る人より高い所の堅固な構造物です。サンコーは使用場所の真上か、その直近としています。D環より低い位置には付けません。

長さはどう選びますか?

最大移動距離より約1m長いものを選ぶ、が藤井電工の目安です。

使用期限は何年ですか?

メーカーによって違います。藤井電工は購入後から最長10年で、定期点検はベルブロック2年ごと・テトラブロック3年ごとです。サンコーの点検ページには年数の記載がなく、損傷や劣化で交換を判断するとしています。

はしごの登り始めで落ちても止まりますか?

止まりきらないことがあります。サンコーは、止まるまで最大で700mm程度引き出され、地面の近くでは停止より先に地面等に衝突することがある、と書いています。

参考にした基準・資料

  1. 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日 基発0622第2号)第4の4「昇降・通行時等の措置、周辺機器の使用」(p.8)・第7 廃棄基準(p.13) https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001258810.pdf(閲覧日 2026-10-23)
  2. 藤井電工「ベルブロック 取扱説明書」p.2〜3(用途)・p.4〜6(仕様)・p.7(接続)・p.8(廃棄)・p.12〜14(取付・30°)・p.20(取付位置)・p.21〜23(点検)・p.22(耐用期間) https://www.fujii-denko.co.jp/wp-content/themes/fujii/images/product/toriatukai_pdfdl/15.pdf(閲覧日 2026-10-23)
  3. 藤井電工「テトラブロック 取扱説明書」p.3(用途・接続)・p.6(型式・長さ・選定の目安)・p.20(引寄せロープ)・p.21(ロック確認)・p.22(耐用期間) https://www.fujii-denko.co.jp/wp-content/themes/fujii/images/product/toriatukai_pdfdl/17.pdf(閲覧日 2026-10-23)
  4. サンコー(タイタン)「安全帯を知る(セイフティブロック)」 https://www.sanko-titan.co.jp/safety_belts/crash-prevention-instrument/(閲覧日 2026-10-23)
  5. サンコー(タイタン)「セイフティブロック 製品一覧」 https://www.sanko-titan.co.jp/product/fallarrestblocks/(閲覧日 2026-10-23)
  6. サンコー(タイタン)「点検と交換(セイフティブロック)」 https://www.sanko-titan.co.jp/safety_belts/inspection-and-exchange/safety-block/(閲覧日 2026-10-23)
  7. 労働安全衛生規則 第518条(作業床の設置等)・第521条(要求性能墜落制止用器具等の取付設備等)・第526条(昇降するための設備の設置等) e-Gov法令検索(閲覧日 2026-10-23)

この記事の確認日:2026-10-23(数値はすべて上の資料の原文で確認。製品の仕様は改訂されることがあるので、手元の製品の取扱説明書を優先してください)

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