土間の防湿シートの重ね幅は、公共建築工事標準仕様書(令和7年版)4.6.5で250mm程度です。厚さは特記がなければポリエチレンフィルムで0.15mm以上。そのうえで現場監督が見るのは、埋め戻しの前に地中梁へシートを掛けたかどうかと、重ね・破れの処理です。
07 地業工事|施工中
- 段取り:—
- 施工中:この記事/捨てコンと砕石地業の確認
- トラブル対処:—
土間の配筋の前日、砕石の上で。
シート、梁の上で切っちゃっていいかい?
切らずに、梁の上で丸めて留めておいてもらえますか。長く垂らさなくて大丈夫です。
余ってるなら、切ったほうがきれいじゃないですか?
梁際は、仕様書で長さの目安が決まっている所なんだ。切るかどうかは、その数字を見てからだね。
重ね幅も決まってるんですか?
うん、決まってる。今日は「何のためか → 重ね幅と厚み → 梁への掛け方 → 留め方と補修 → 打設前の確認」の順番で話すね。
この記事で分かること
- 土間の防湿シートの重ね幅と厚みの基準(標仕 令和7年版の箇所つき)
- 埋め戻しの前に、地中梁へシートを掛けて立ち上げる理由
- 重ねの留め方と、破れたときの補修のしかた
土間下の防湿シートは何のためにあるか
標準仕様書では、防湿シートは4章「地業工事」6節の「床下防湿層」として出てきます。名前のとおり、土間の下で湿気を防ぐための層です。位置は4.6.5(3)で「土間スラブ又は土間コンクリートの直下」と決められていて、断熱材がある場合は断熱材の直下になります。
防湿層をどこに入れるか(適用と範囲)は、4.6.5(1)で特記によるとされています。なので、最初に見るのは特記仕様書と図面です。「土間だから全部に敷く」と思い込まず、範囲を図面で確かめるのが先です。
もうひとつ覚えておきたいのが4.6.3(5)です。砂利地業の上に防湿層をじかに施工する場合は、防湿層の下に目つぶし砂を敷き均すことになっています。砕石の上にじかに敷くかどうかは、特記と施工計画で先に決めておきましょう。
防湿シートの重ね幅と、土間の防湿シートの厚みは仕様書で決まる
標仕(令和7年版)では、材料は特記によるとしたうえで、特記がなければポリエチレンフィルムで厚さ0.15mm以上です(4.6.2(4))。重ね合せと基礎梁際の折り下がりの長さは、どちらも250mm程度です(4.6.5(2))。まずはこの2つの数字を押さえておけば、図面と特記を読むときに迷いません。
| 項目 | 標仕(令和7年版)の値・決まり | 箇所 |
|---|---|---|
| 材料・厚さ | 特記による。特記がなければポリエチレンフィルム、厚さ0.15mm以上 | 4.6.2(4) |
| 重ね合せの長さ | 250mm程度 | 4.6.5(2) |
| 基礎梁際の折り下がりの長さ | 250mm程度 | 4.6.5(2) |
| 敷く位置 | 土間スラブ・土間コンクリートの直下(断熱材があれば断熱材の直下) | 4.6.5(3) |
| 砂利地業の上にじかに敷く場合 | 防湿層の下に目つぶし砂を敷き均す | 4.6.3(5) |
| 適用・範囲 | 特記による | 4.6.5(1) |
僕の現場では、重ね幅は仕様書どおりでよく、設計で変えることは基本的にありませんでした。一方で厚みは、特記ではっきり指示している現場もあります。数字を決め打ちせず、特記仕様書に書いてあればそちらを優先します。

防湿シートは土間下の埋め戻しの前に地中梁へ掛けて立ち上げる
僕がいちばん気をつけているのは、埋め戻しの前に地中梁へシートを掛けて立ち上げておくことです。砕石の層にもシートを飲み込ませておきます。これを忘れて埋め戻した後に気づくと、掘り返すことになります。
標仕は、基礎梁際の折り下がりの長さを250mm程度としています(4.6.5(2))。つまり梁際も、重ねと同じくらいの長さを取る前提です。梁際の納まりは図面や施工図で決まっているので、図と違う納め方をするときは監理者に確認してから進めます。
埋め戻しそのものの締固めは別の記事にまとめています。埋戻しの締固め基準と、その下ごしらえになる捨てコンと砕石地業の確認もあわせて読んでみてください。
梁の上で丸めて留める。余らせすぎない
梁に掛けたシートは、梁の上で丸めて留めてもらいます。僕は職人さんに、土に飲み込ませる分より少し多めを埋め込み、残りは梁の上で丸めるように最初に伝えています。言っておかないと、シートを長く垂らしてしまうことがあるからです。
Konyの現場メモ
「少し多め」は、僕の目安で50〜100mmくらいです。仕様書の数字ではないので、現場ごとに図面と相談して決めてください。長く垂らすと材料を無駄にするうえ、拾った数量と実際の使用量が合わなくなります。
梁の上で切るかどうかを考える前に、標仕の折り下がりの長さ(250mm程度)が取れているかを見ておきましょう。そのうえで余った分は丸めて留めておけば、無駄と数量のずれの両方を抑えられます。職人さんへのひと言で済むことなので、先に伝えておくのがおすすめです。
重ねはガムテープで留め、破れは破れた所から重ねて補修する
僕の現場では、シートを重ねた所はガムテープで留めていきます。重ね目が開いたままだと、そこが防湿層の切れ目になってしまいます。重ね幅は標仕の250mm程度(4.6.5(2))を、スケールで当てて確かめます。

破れを見つけたら、破れた箇所から重ね幅の分だけ重なるようにシートを当てて補修します。僕は補修も重ねと同じ考え方で、標仕の重ね合せの長さ(250mm程度)を破れの周りに取るようにしています。当てたシートも、ガムテープで留めておきます。
破れは、破れた所から重ね幅の分だけ当てて留めるよ。テツさん(職長)
配筋・打設の前に、防湿シートの何を見るか
防湿シートは、配筋が始まると上から見えにくくなります。なので、埋め戻しの前日に、地中梁へのシートの掛け忘れがないか全周を見るのが僕のやり方です。順番を図にすると、監督の出番は「梁に掛ける」の所です。
- 砕石を転圧
- 防湿シートを敷く
- 重ねをテープで留める
- 地中梁に掛けて立ち上げる(全周を見る)
- 埋め戻し
- 土間の配筋
- コンクリート打設
| 見る所 | 基準・目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 材料の厚さ | 特記の値。特記がなければ0.15mm以上 | 標仕 4.6.2(4) |
| 重ね幅 | 250mm程度 | 標仕 4.6.5(2) |
| 梁際の折り下がり | 250mm程度 | 標仕 4.6.5(2) |
| 地中梁への掛け | 埋め戻しの前に全周で掛かっているか | 僕の現場の確認 |
| 重ねの留め | ガムテープで留めてあるか | 僕の現場の確認 |
| 破れ | 破れた所から重ね幅の分だけ当てて補修したか | 僕の現場の確認(重ね幅は標仕 4.6.5(2)) |
配筋検査の前にもう一度、配筋の足元でシートが破れていないかを見ておくと安心です。配筋で見るところは配筋検査で指摘されやすい箇所にまとめています。
防湿シートは、重ね幅も厚みも仕様書で決まっていて、現場で迷う数字はほとんどありません。差がつくのは、埋め戻しの前に地中梁へ掛けたかどうかです。埋め戻しの前日に、全周をひと回り見てから進めてください。
よくある質問
防湿シートの重ね幅は150mmや300mmではないの?
公共建築工事標準仕様書(令和7年版)では、重ね合せは「250mm 程度」です(4.6.5(2))。実は僕も、少し前まで150mmだと思い込んでいて、仕様書を開き直して250mmだと分かりました。150mmという数字は、標仕にも、下で触れるフラット35の技術基準にも見当たりませんでした。
一方、住宅金融支援機構のフラット35の技術基準では、基礎断熱工法の床下防湿で「防湿フィルムの重ね幅は300mm以上」とされています。どの数字を使うかは、その工事がどの仕様書で契約されているかで決まるので、記憶の数字で進めず、特記仕様書で「どの基準によるか」を先に確かめてください。
- 前後の工程|07 地業工事埋戻しの締固め基準|300mmごとに転圧し、巻き出しの写真を残す
- 次の工程|08 鉄筋工事配筋検査で指摘されやすい箇所|本数より重ね・あき・かぶりを先に見る
- 打設の段取り|土間コンクリート土間コンクリートの打設計画|1日150m³を打ち切る時刻表と打つ順番
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参考にした基準・資料
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」令和7年版4章 地業工事 6節:4.6.2(4)(床下防湿層の材料・厚さ)、4.6.3(5)(目つぶし砂)、4.6.5(1)〜(3)(床下防湿層の適用・重ね合せ・折り下がり・位置)
- 住宅金融支援機構【フラット35】「在来木造、枠組壁工法及び丸太組構法の耐久性基準」基礎断熱工法の床下防湿(防湿フィルムの重ね幅300mm以上)。閲覧日 2026-10-25
基準の数値は版によって変わることがあります。実際の工事では、特記仕様書と最新版の基準を確認してください。


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