壁つなぎの間隔は何m?単管5m×5.5m・枠組9m×8mと取り方

壁つなぎの間隔は何m?のアイキャッチ(仮設工事・施工中) 01 仮設工事

壁つなぎの間隔は、労働安全衛生規則 第570条で、単管足場が垂直5m以下・水平5.5m以下、枠組足場(高さ5m未満を除く)が垂直9m以下・水平8m以下と決まっています。くさび式足場は法令の表に名前がないので、仮設工業会の技術基準とメーカーの使用基準で数字を確かめます。この記事では、その数字を足場図でどう数えるか、躯体ごとにどう付けるか、取れない所をどう考えるかまでを書きます。

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足場の組立て前日。詰所で足場図を広げていると、ルーが窓の上を指さしました。

ルー

この窓の上、壁つなぎ取れないんで飛ばしていいですよね?

Kony

なんで飛ばしていいと思った?

ルー

隣の壁つなぎまで、そんなに離れてないように見えたんで……。

テツさん

取れん所は飛ばすんやなくて、どう取るかを先に決めとくもんや。組んでから言われても困るで。

Kony

まず法令の数字を押さえて、図面の上で数えるところからやろう。取れない所の考え方も順番に話すね。

この記事で分かること

  • 単管・枠組・くさび式それぞれの壁つなぎの間隔と、その根拠
  • RC・S造サイディング・ALC で、壁つなぎをどこにどう効かせるか
  • 「ここは取れない」を飛ばさずに、外したあとの補修まで段取りする方法

壁つなぎの間隔は足場の種類で決まる

壁つなぎ(または控え)の間隔は、労働安全衛生規則 第570条第1項第5号イの表で、鋼管足場の種類ごとに上限が決まっています。単管足場は垂直5m・水平5.5m、枠組足場は垂直9m・水平8mで、どちらも「以下」です。枠組足場は高さ5m未満のものが表から除かれていますが、低いから要らないと決めつけず、足場の計画で確かめます。同じ号のハでは、引張材と圧縮材で組む壁つなぎの場合、その間隔を1m以内にすることも決まっています。

足場の種類垂直方向水平方向根拠
単管足場5m以下5.5m以下労働安全衛生規則 第570条第1項第5号イ
枠組足場(高さ5m未満のものを除く)9m以下8m以下労働安全衛生規則 第570条第1項第5号イ
くさび緊結式足場法令の表に名前はない。仮設工業会の技術基準と、使う足場のメーカーの使用基準で確かめる(一社)仮設工業会「くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準」、各メーカーの使用基準
表1 足場の種類別の壁つなぎ間隔(e-Gov 法令検索で2026年10月18日に確認)

覚え方は、単管は「5と5.5」、枠組は「9と8」で、どちらも縦の数字を先に言うと決めておくと混ざりにくいです。縦と横を逆に覚えると、横に広げすぎた足場図をそのまま通してしまいます。数字はこの表の値が上限で、ここまで広げてよいという目標ではありません。

枠組足場とくさび式の壁つなぎ間隔の違い

枠組足場の壁つなぎ間隔は垂直9m・水平8mで、単管足場より広く取れます。一方で、くさび式の壁つなぎ間隔は、法令の表には出てきません。宮崎労働局の「足場の規則改正に係るQ&A」でも、くさび緊結式足場の組立て方法は仮設工業会の技術基準を参考にするよう案内されています。

メーカーの使用基準は、製品ごとに数字が違います。たとえばタカミヤのシステム足場「Iq System」の使用基準では、壁つなぎ(認定品)を原則として垂直方向2層(3.8m)以下・水平方向3スパン(5.5m)以下の間隔で設けるとしています。くさび式だから単管や枠組の数字でよい、と思い込まないことが大事で、現場に入る足場のメーカー資料を取り寄せてから足場図を見ます。数字が手元にないまま足場図をチェックしないことです。

くさびはメーカーで数字が違う。資料を見てから図面を見るんや。テツさん(職長)

間隔は立面図で数えて先に決める

足場の図面は、現場で描くことが多いです。壁つなぎの位置は足場の種類によって違うので、スパンを見ながら位置を決めていきます。足場図をもらったら、立面図の上で壁つなぎの位置に印をつけ、縦と横の間隔が表1の数字に収まっているかを数えてみてください。窓や庇、設備の配管が重なる所は、この時点で印が置けないことに気づけます。

窓 窓にかかる位置:飛ばさず、足場の計画で代わりを決める 垂直≤9m 水平 ≤8m水平 ≤8m 壁つなぎ
図1枠組足場の立面で壁つなぎの位置を数える例(模式図。寸法は労働安全衛生規則 第570条第1項第5号イの上限で、スパン・層の数は例ではありません)。単管足場なら垂直5m以下・水平5.5m以下で数えます。

印をつけたら、置けない所を一覧にして鳶の職長と先に話します。組み上がってから「ここは取れない」と言われると、代わりの手を考える時間がありません。足場の計画と施工図の段階でつぶしておくのが、監督の段取りです。

躯体別の壁つなぎの付け方:RC・S造サイディング・ALC

壁つなぎは、どこに効かせるかが躯体によって変わります。コンクリート造なら、打設のときに型枠へ打ち込んでおく壁つなぎ用の金物を使います。種類はいろいろあるので、打設前に足場の計画と位置を合わせておく必要があります。打設後に足りないと分かっても、あとから同じ物は入りません。

鉄骨造でサイディングの外壁なら、壁つなぎのボルトを受ける金物が付いたビスを、サイディングの上から鉄骨の胴縁に打ち込みます。ここで効くのはビスの長さです。長すぎると胴縁を抜けて中の仕上げのボードまで届き、短すぎると下地の胴縁に届きません。

RC造S造・サイディングALC(改修で後から) 打込み金物打設前に型枠へ 中の仕上げボード胴縁サイディング 長すぎ → ボードまで届く短すぎ → 胴縁に届かない 下地の胴縁ALC ALC だけには効かせない 胴縁の位置は既存図で確認
図2躯体別の壁つなぎの効かせ方(模式図・寸法は例)。ビスの長さ・金物の種類は、使う製品のメーカー資料と足場の計画で決めます。

ALC の改修工事で後から打ち込むときは、ALC 自体が弱いので、サイディングと同じように下地の胴縁に効かせます。新築で ALC を積むなら、積むときに先に仕込めるものがないかを、ALC メーカーや足場の担当者に早めに聞いておきます。どの躯体でも、金物が効く下地があるかどうかは、壁つなぎの強さそのものに関わります。

Konyの現場メモ

ALC の改修で壁つなぎを後から取ったとき、既存の図面で胴縁の位置をよく見たのに、実際に探るのが大変でした。何回か探りながら胴縁を見つけて、やっと壁つなぎを取りました。改修では「図面どおりにある」と思わず、探る時間を工程に入れておくと安心です。

壁つなぎの金物は、本当に種類が多いです。僕はどれを使うか悩んだら、メーカーの担当者に聞きます。よく出ている物や、この条件ならこれがいい、というのを教えてくれるので、躯体と外壁の条件を伝えて相談するのが早いです。

「ここは取れない」を飛ばさない(壁つなぎ 間隔の考え方)

「壁つなぎがもう取れないから、ここはなしにしよう」は、絶対にしません。壁つなぎは足場の中でもかなり重要なので、どうやったら取れるかを考えます。取れない位置の近くで本数を増やす、という手もありますが、どこで何本増やせばよいかは、足場の組立て等作業主任者と、足場の計画をしたメーカー・鳶の職長に必ず確認します。監督が図面の上だけで「これで足りる」と決めないことが大事です。

法令も、窓枠の取付けや壁面の仕上げなどで壁つなぎを外す場合を想定しています。労働安全衛生規則 第570条第2項で準用する第569条第3項では、作業の必要上やむを得ず外すときは、代わりに建地や布に斜材を設けるなど、足場の倒壊を防ぐ措置をとることが求められています。つまり、外すなら「代わりの手」が先に決まっている必要があります。

足場図で壁つなぎの位置を数え、取れない所を一覧にする現場で直す
取れない所を鳶の職長に伝え、代わりの取り方を足場図に反映してもらう直して報告
本数を増やす・斜材で代えるなどの判断は、作業主任者と足場の計画者が決める指示を仰ぐ

手元にある社内の安全パトロールの記録(2022〜2026年)では、足場まわりで多かった指摘は開口部の養生・表示や、立ち馬・脚立、足場点検の記録で、壁つなぎの不備を指摘された記録はありませんでした。言われにくいからこそ、監督が自分で数えないと抜けます。パトロールで言われないことと、足りていることは別です。

Q枠組足場の足場図で、窓の上の壁つなぎが取れないと分かりました。どうする?

  • A隣の壁つなぎまで8m以内に見えるので、そのまま飛ばす
  • B取れない所を一覧にして、組立て前に鳶の職長・作業主任者と代わりの取り方を決める
  • C組み上がってから、パトロールで言われたら考える
答えを見る

B 壁つなぎは足場の中でもかなり重要で、取れないからなしにするのは避けます。代わりの取り方は、足場の計画をする人と組立ての前に決めておきます。

外したあとの補修までが段取り

壁つなぎを打つ場所は、なるべく外壁の目地を狙います。目地なら、外したあとの跡をコーキングで補修できるからです。目地なし工法の外壁だと、跡がサイディングに直に出るので、打つ位置と補修の方法を先に決めておきます。コンクリート造でも、外したあとは壁つなぎの跡が残らないように面まで補修します。

足場は解体しながら補修していくので、外したタイミングで補修箇所の忘れがないようにします。壁つなぎの位置を足場図に残しておけば、そのまま補修の確認表として使えます。外壁に穴をあけて補修する部分なので、打つ位置と補修の方法は監理者にも伝えて確認しておきます。

目地の補修に使うシーリング材の選び方はコーキングの選び方に、窓まわりの段取りはサッシ取付の手順に書いています。窓枠の取付けは壁つなぎを外す場面とも重なるので、あわせて読んでおくと段取りがつながります。

壁つなぎの間隔は、法令とメーカーの数字を押さえれば、あとは図面で数えるだけです。足場図をもらったら、立面で壁つなぎの位置を数え、取れない所を鳶の職長と先に決めておいてください。現場1年目の仕事の全体像は施工管理1年目の仕事にまとめています。

参考にした基準・資料

  1. 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)e-Gov 法令検索第570条第1項第5号イ・ハ(鋼管足場の壁つなぎ又は控えの間隔)、第570条第2項・第569条第3項(壁つなぎを外すときの措置)。2026年10月18日確認
  2. 宮崎労働局「足場の規則改正に係るQ&A」くさび緊結式足場の組立て方法は(一社)仮設工業会「くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準」を参考にする旨
  3. 株式会社タカミヤ「Iq System」カタログIq System使用基準 7)壁つなぎ(原則 垂直方向2層(3.8m)以下・水平方向3スパン(5.5m)以下)
  4. 富山労働局「足場・仮設通路 事前チェックリスト」単管足場・わく組足場の壁つなぎの設置(安衛則第570条第1項第5号)

基準の数値は改正やメーカーの版によって変わることがあります。実際の工事では、最新の法令と、使う足場のメーカーの使用基準・足場の計画を確認してください。

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