手すりの下地鉄板はいつ入れる?LGSのあと、ボード前に写真で残す

金属工事:手すりの下地鉄板はいつ入れる? 16 金属工事

手すりの下地鉄板は、LGS(軽量鉄骨の壁下地)を起こしたあと、ボードを張る前に入れます。図面に書いていないこともあるので、監督が図面から手すり・棚・器具の位置を拾って仕込み、ボードを張る前に写真を撮って残します。入れ忘れたら、ボードの奥で開く中空壁用のアンカーで留めることになりますが、使えるかどうかはメーカー資料と監理者の確認が要ります。

16 金属工事|段取り

  1. 段取り:この記事
  2. 施工中:—
  3. トラブル対処:完成後に「色がイメージと違う」と言われたら

LGS の壁が立ち上がった日の夕方、2階の廊下で。

ルー

手すりって、最後に付けるものですよね?今はまだ関係ないかなって。

Kony

付けるのは最後だけど、しっかり効くかどうかは今決まるんだ。ボードを張ったら、中は見えなくなるからね。

ルー

図面に書いてあれば、職人さんが入れてくれるんじゃないですか?

テツさん

書いてあれば入れるよ。書いてない所は、言ってもらわないと分からないな。

ルー

じゃあ、書いてない所は誰が拾うんですか?

Kony

監督だよ。今日は、いつ入れるか・どこを拾うか・何を入れるか・写真・入れ忘れたときの順番で話すね。

この記事で分かること

  • 手すりの下地鉄板を入れるタイミング(LGS のあと、ボードの前)
  • 図面に書いていない手すり・棚・器具の下地を、監督が図面から拾う方法
  • 入れたら写真を撮る理由と、入れ忘れたときの直し方

手すりの下地鉄板は「LGSのあと、ボードを張る前」に入れる

僕の現場では、手すりの下地は LGS を起こしてから、ボードを張る前に入れています。スタッドが立つ前は付ける相手がなく、ボードを張ったあとは中が見えなくなるからです。つまり、手すりがしっかり付くかどうかは、ボードを張る前に決まります。手すり本体を付けるのは仕上げのあとでも、下地の段取りは軽天工事の途中に入れておきます。

軽天工事の中での順番は、壁・設備・天井の流れに乗せて考えると分かりやすいです。壁の LGS を起こし、設備の配管・配線が壁の中を通ったあと、ボードを張る前に下地鉄板を入れて写真を撮る、という流れです。軽天全体の段取りは軽天工事の段取りにまとめています。

▽ ここまでにボードの裏を済ませる ここから先は見えなくなる LGS建込み 設備配管 下地鉄板 写真 ボード張り クロス 手すり取付 監督が入ったことを見て、写真で残す
図1手すりの下地を入れる工程の中のタイミング(模式図。順番の例で、日数は示していません)

図面に書いていないこともある|手すりの下地補強は監督が拾う

手すりの下地補強は、図面に書いてあるときもあれば、書いていないときもあります。書いてあれば職人さんは入れてくれますが、書いていない所は誰かが気づかないと入りません。そこを拾うのが監督の仕事です。手すりだけでなく、棚や壁付けの器具も同じように下地が要るので、まとめて拾います。

拾うときは、平面図だけでなく展開図・建具表・家具図・設備図も見比べて、壁に何かが付く所に印を付けていくと漏れにくくなります。細かい納まりは図面を眺めているだけでは気づけないので、ボードを張る前に「この壁に何が付くか」を先に考えておくのがコツです。拾った位置は、職人さんと現地で確かめます。

見る図面見るところ拾うもの
平面図手すり・器具の記号が付いた壁どの壁に下地が要るか
展開図壁の立面(高さ・長さ)手すりの高さと長さ、棚・器具の位置
建具表扉まわりの金物壁に付く金物の位置
家具図・什器図棚・カウンター・吊戸棚壁で受けるものの範囲
設備図洗面台・器具の取付位置器具の下地の範囲
表1 手すり・棚・器具の下地を拾うときに見る図面(拾い方の例)

洗面台や便器まわりの下地補強は、ボードの選び方とあわせて内装ボードの選び方でも触れています。仕上げにケイカル板を使う壁なら、見切りや目地の位置も一緒に決めておくと、下地の範囲を決めやすくなります(ケイカル板の目地と見切り)。

新築なら手すりの下地は鉄板|ビスを効かせるため

新築で手すりの下地を入れるなら、僕は鉄板を入れてビスを効かせるのが一番だと思っています。ボードだけではビスが効かないので、ブラケットのビスを鉄板まで届かせて留める、という考え方です。鉄板の厚みや範囲は、僕の記憶で決めずに設計図・特記仕様書で確認してください。

手すりメーカーの施工説明書にも、石膏ボードのような強度のない壁に直接取り付けないこと、指定の下地を使うこと、下地に十分な厚さと補強が要ることが書かれているものがあります(ナカ工業「愛の手NSシリーズ」取付説明書)。どの下地が要るかは、付ける手すりの施工説明書で確かめるのが確実です。

壁の中(廊下の反対側) スタッド(LGS) 下地鉄板 ボード(+クロス) ブラケットの座 手すり ビスを鉄板まで効かせる 廊下・階段の側(手すりを握る側) 鉄板の厚み・範囲は設計図・特記で確認
図2手すりの下地鉄板の位置(壁を上から見た横断面の模式図。寸法・厚みは表していません)

入れたら、ボードを張る前に写真を撮る

下地を入れたら、ボードを張る前に写真を撮って、下地が入っていることが分かるようにしておきます。ボードを張ったあとは、入っているかどうかを目で確かめる方法がないからです。あとで手すりを付ける職人さんに位置を伝えるときにも、この写真がそのまま使えます。

撮るときは、どの壁か分かる引きの写真と、鉄板が入っている様子が分かる寄りの写真をセットにすると、あとで見返しやすくなります。展開図に「どこに入れたか」を書き込んで、写真と一緒に残しておくと、仕上げのあとでも位置を追えます。

写真がないと、ボードを張ったあと誰も「入ってる」と言えないよ。ミサキさん(先輩監督)

階段の手すりの下地がないとき|中空壁用アンカーで直した話

正直に書くと、僕は手すりの下地鉄板を入れ忘れたことがあります。内部階段の手すりで、ボードにクロスを張った壁でした。気づいたときにはボードもクロスも張り終わっていて、LGS のスタッドは穴をあけないとどこにあるか分からない状態でした。

Konyの現場メモ

このときは、ボードを貫通したあとに先端が90°開く、ボード用の中空壁アンカーで手すりを留めてリカバリーしました。直せはしたけど、最初から下地鉄板を入れておけば要らなかった手間です。

中空壁用のアンカーは、どれでも手すりに使えるわけではありません。使えるかどうか、何本で留めるかは、アンカーメーカーの資料にある許容荷重と、手すりメーカーの施工説明書で確かめてください。手すりは人が体重を預けるものなので、直し方は現場で決めずに監理者に報告して、指示を仰ぎます。

安全に関わるところ

手すりの取付強度は、利用者の転倒・転落に関わります。下地がない壁にアンカーで取り付けるかどうかは、現場監督の判断で済ませず、監理者に報告して、必ず構造設計者・監理者の指示を仰いでください。

ボードにクロスを張った階段の壁に、ブラケットで留めた手すり。
写真1 ボードにクロスを張った壁の階段手すり。仕上がると、ブラケットの裏に下地があるかは見えません。

準備物チェックリスト(印刷して使う)

ボードを張る前日までに通すリストです。現場によって要らないものは消して使ってください。

  • ☐ 平面図・展開図・建具表・家具図・設備図から、手すり・棚・器具が付く壁を拾った
  • ☐ 拾った位置を展開図に書き込み、職人さんと現地で確かめた
  • ☐ 下地鉄板の厚みと範囲を、設計図・特記仕様書で確認した
  • ☐ 付ける手すりの施工説明書で、必要な下地を確認した
  • ☐ ボードを張る前に、下地が入っていることを自分の目で見た
  • ☐ 引きと寄りの写真を撮り、展開図と一緒に残した

手すりは最後に付くものですが、効くかどうかはボードを張る前に決まります。ボードを張る前日までに、手すり・棚・器具の下地を図面から拾って位置を職人さんと確かめ、入れたら写真を撮っておきましょう。

参考にした基準・資料

  1. ナカ工業「愛の手NSシリーズ」取付説明書警告・注意:石膏ボードなど強度のない壁に直接取り付けない/指定の下地を使う/下地に十分な厚さと補強が要る

下地鉄板の厚み・範囲は、設計図・特記仕様書で確認してください。アンカーの許容荷重は製品ごとに違うので、使う製品のメーカー資料で確かめてください。

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